2021'S RECORD

※デフォルト名の表記あり

1月

「よくある話」五条/呪術廻戦
「謙遜……はしないよね。ごめん、悟だもんね」
「謝んなよ照れるだろ」
「どこに照れる要素あった?」

2月

「わすれじの」張/BLACK LAGOON
ただ「いやだな」と思った。
わたしだけがいい、と。
一番目、二番目、三番目ではない。「唯一になりたい」と思ってしまった。わたしだけを見てほしい。他のひとにはふれないでほしい、なんて。

3月

綯交ないまぜ」張/BLACK LAGOON
幸福が過ぎると、恐ろしくなる。
ならば恐怖を薄めたものが幸福だとでもいうのか。

4月


「病院?いいえ、あれは映画館です」
赤井秀一/名探偵コナン

はわわ……赤井捜査官の大きな手がわたしに触れている……! まってまってまってこんな公共の場で、そんなこと、だめでしょ許されませんよこんなこと……!
神がわたしなんぞにふれてしまったら時空が歪んでビッグバンとか生じそうなので、可及的速やかに解放してほしい。宇宙の危機がここで起こっている。世界平和をきっとみんな願っているんだぞ!!!!!

5月


「By any other word would smell as sweet.」
シャーリー/シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱

まるで「昨夜は熱い夜をお過ごしでしたね」とでもヤジを飛ばしてやりたくなる会話である。ちなみに私は同居二日目にこのセリフを吐いた。
しかしながらシャーリーのこの抗議は、お気に入りの毛布がなかったからぐずる子どものようなものなのだ。

6月


敷衍ふえんするなら、シュミとか好みとか、愛情とでも」張/BLACK LAGOON
照覧あれ、賭けの勝敗についてはつ言もあるまい。スープのなかに金の指輪、糸車と糸枠はなく、エワルド青年にハダリーを与える者もおらず、憐れ、おかげでこのザマである。
性根が悪いにも程がある女のめぐらした奸佞邪知かんねいじゃちにより、あに図らんや、人生を持っていかれてしまった男!

7月

「得魚忘筌」房宿/ふしぎ遊戯
儚い白藍色がほろほろと白い肌を伝い落ちる、そのさまの美しさときたら。かのひとを思い描きながら「あのひとのために私は生まれてきたの」と花開くように頬を染めた花婉姉さまの微笑は、当代随一の花と謳われた、楼一番の姉さまも到底及ばぬに違いありません。

8月


「チャッティング・アウェイ・ハピリィ」
ラッキーガール/BLACK LAGOON

普段の下卑た喧騒には程遠い、さながら葬式でも始めんばかりの様相を呈しているイエロー・フラッグ店内を指して、ロックは「酒場としてどうなんだ」と嘆息した。

9月

「人でなし」ウェンウー/シャン・チー
残念ながら彼にとっての「ひと」は彼女ひとりだったというだけの話だ。わたしだって、そんなシュミはない。

10月


「怪奇!◯◯しないと出られない部屋!」
ロド/吸血鬼すぐ死ぬ

「ご機嫌よう、ひとの子よ! 私は吸血鬼◯◯しないと出られない部屋!」
「あ、今度は条件なに?」
「『あ、今度は条件なに?』!? 自己紹介してそんな反応されたの初めてなんですけど!?」
「あー、出られない部屋系亜種は週三で発生しててな……」

11月

「AM0:06の茶番」沙明/グノーシア
「ただ、沙明のベッド狭いんだよね……」
「オゥライ、はよ帰れや」
「ねえ、沙明、新しいベッド買わない?」
「は? あー……お前が払うっていうんなら考えてやってもイイけど」
「ほんと? ダブルとか買っていい?」
「アッハ、このクソせめー部屋のどこに置くつもりなんですかねェ。ルリサンは」

12月


「ことりよすずよ」張/BLACK LAGOON
彼の意志の強そうな目鼻立ちと、面輪おもわを隠すサングラス、その奥の瞳は柔和と表しても差し支えなく、飄逸かつ洒脱な容止をして、「金義潘の白紙扇」と謳われる俊傑と看破するのは難しかったかもしれない。

2021年字書き録 つみ(@mutsumimustum)
(2021年12月30日)
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