(※xriaさんに移転させていただいた理由のひとつ、マークが使えるということで一度試してみたかった付きのセリフ。お試しな感じなので短いうえ、なんとなく男性向けっぽいかもしれないような気がするような。申し訳ありませんが、苦手な方は閲覧をご遠慮ください)
(※いろんな意味でゆるい)
(※【2021/09/09追記】ナノさんへ移転したためハートマークを改削しました。ご了承ください)




ほんの些細な疑問でも、実際に試行し結果を求めることは本来規範的なこととされる。
それが興味のある対象ならば尚更。

「そう思わんか、なまえ」
「ああぁっ! ――ヒッ、も、やぁっやらぁっ……!」

先程からカーズがなにか話しかけているようだがなまえの脳裡はぐちゃぐちゃで、それへ返答することは愚か、向けられる言葉を理解することすらも難しかった。
きっかけとなった出来事の記憶は、既になまえの頭から抜け落ちている。

子宮口まで埋め尽くさんばかりに奥深く、極太の巨物をずっぷりと咥え込まされた膣肉は、驚くほど柔軟にうねり狭孔全体を強く収斂させた。
本能的な恐怖すら覚えるほど深く重く、それでいて同時に脳髄が焼き切れるほど強烈な喜悦に、なまえは手を痙攣させながら彼の背へ爪を立てることしか出来ない。
涙の溢れた瞳は焦点が定まっておらず、ハレーションを起こしたように白んだ視界はちかちかと明滅を繰り返す。

なまえを襲うものは最早、快楽というより拷問に近い。
総身をふるわせながら逃れようとするものの、規格外に太く逞しい男の腕に抑え付けられればその抵抗もあっけなく無意味なものとなる。
抵抗など迂遠であると過去の数多の経験から自明だったが、しかしながらなまえは自己防衛という根源的な欲求によって必死にそこからの逃避を計ろうとした。
唾液でてらてらと光る唇は熱に浮かされたように、助けて、と形づくるものの、それが叶うことなどなく。

「は、っ、どうした、なまえ」
「〜〜ッ! ひゃあああぁっ、かーずさんっらめぇっ……あついぃっ、なまえのおなかっ、とけちゃうぅっ」

何度も肉襞を掻き分けられる暴力的な感覚に、なまえはビクビクと体を波打たせて悲鳴じみた嬌声を迸らせる。
狭い部屋に善がり声は大きく響くものの、自我すらあやふやななまえにはそれを恥じる余裕も理性も残されておらず。
呼吸の仕方を忘れたようにはくはくと宙を噛む唇に誘われ、カーズはなまえの小さな口へ指を無遠慮に突っ込んだ。

「んぐっ……! は、ンぁあえっ……ぁふあ"あぁっ」

突然口腔へ指を含まされ目を白黒したのも束の間、律動がはじまればなまえの意識はそちらに奪われ、すぐにその動きに合わせ浅ましく腰を揺らめかせはじめた。
長大な肉棒による突き上げは、彼女へ内臓ごと持ち上げられ掻き混ぜられるかのような苦しさ、心地の悪い浮遊感のようなものを否応なしに与える。
しかしながら脳内を満たし尽くす麻薬のような愉悦は、それすらもなまえへ暴力的な快楽のひとつだと脳裡へ植え付けていた。
時折いたずらに人差し指と中指で舌を挟まれれば、なまえは一層顔をとろけさせて舌足らずな嬌声をあげることしか出来ない。
閉じることの出来なくなってしまった唇からは飲み下しきれなかった唾液がぼたぼたと垂れた。
口内で指を動かされるくちゅくちゅという音と、肉のぶつかる生々しい音が響く。

「ぁ〜〜ッ、らめぇっなまえ、も、おかしくなりゅぅ……」

いま達しているのか、そうでないのか。
それすらもよく分からない。
強制的な快感に、なまえは狂おしく肌を波打たせた。
本能的な恐怖と、それを塗り潰すほど圧倒的な多幸感。
頭の中が溶けそうな、骨身が焼け焦げそうな、細胞のひとつひとつにまで塗り替え埋め尽くされてしまいそうな陶酔の極み。

普段の慎ましやかさなど、まるではじめから存在していなかったかのような痴態は際限がないほど淫猥だった。
なまえは惚けきった顔で虚空を見つめながら声にならない嬌声を迸らせ、彼へ更に強く縋り着く。

「あ"ーっ……ひッ、きもちいぃっ、なまえっきもちいぃれしゅぅっ……ぁっふあぁっ、かぁずさんっ、なまえ、もっとほしぃよぉっ! ひゃへぁあぁっ、なまえのおくまれぇっ、かぁずさんのでいっぱいにひてぇっ……!」

これ以上ないというほどに熱く滾った剛直を奥深く咥え込んでいた膣粘膜は、貪欲にやわらかく蠢いてぎちぎちと肉茎へ絡みつく。
更になまえはほっそりとした脚を持ち上げ、彼の腰へと巻き付けた。
もっと奥深くまで迎え入れようと、無意識に淫らに腰を押し付ける。
ずぷぅっと音が聞こえそうなほど一層深まる結合感に、なまえは白い喉を反らせてがくがくっとふるえた。

――普段の彼女からは到底かけ離れた、恍惚の極地といった表情。
乱れきったなまえを見て、カーズはふむ、と首を僅かに傾げた。

そもそも事のきっかけは、暇を持て余した彼女が波紋について何気なく尋ねてきたことだった。
無垢に質問を重ねるなまえに付き合ってやっていると、彼の胸中にひとつの思い付き、疑問がよぎった。
それは「波紋の力で人体の神経へひとつの感覚だけを叩き込むこと」は出来るかというもの。
結果から述べれば可能だった。
寧ろ仕上がりは完璧と言っても良い。
哀れにも都合よく体を使われたなまえは、ひとつの感覚、快楽だけを受け取る器官と成り果てていた。
現にいまやなまえは殆ど忘我の域にまで達し、まともな会話すら不可能な状態である。
とはいえ、波紋など使わずとも時間をかけてゆっくりとなまえをこの状態へ落とすこともまた可能だろうと思うと、カーズにはこの手段が彼女を抱くのに最良とは感じられなかった。

だらしなくなまえの口の端からこぼれた唾液を、べろりと舌腹でなぞる。
もう波紋を彼女へ使うことはないだろうが、まあ折角なのだからこのまま楽しもうかと、カーズはどろどろにとろけきった顔で手を伸ばしてくるなまえへ口付けた。


・・・



「という訳だ」
「取り敢えずお前が反省していないのだけはよく分かった」

じくじくと鈍く痛む頭。
う、と呻いて身じろぎすると、頭だけじゃなくて全身も痛かった。
高熱を出したときのような、身体中の節々の痛みや重たさ、だるさ。

ゆっくりと深く息を吐くと、優しく髪を撫でられた。
労わるような指先の感触が心地良い。
ゆるゆると目を開けると、眼前には心配そうにわたしを覗き込むプッチさんとディエゴくんがいた。

「大丈夫か、なまえ」
「う……ぷっちさんと、でぃえご、くん……?」

……あれ? なんでわたし寝ていたんだろう。
外を見ればもう暗く、随分と長く寝ていたみたいだ。
かすれた声でどうして、と呟きつつなんとか上体を起こす。
周囲を見渡して、少し離れたところにいるカーズさんと目が合った途端、一気に記憶が戻った。

「……っ!」

さっきよりも体がずっしりと重たくなったような気がする。
ついでに、下肢を少しでも動かすと、まるで未だナカになにか入っているような異物感が強く残っていて仕方がない。
これは立ち上がるのすら億劫そうだ。

何があったか思い出したとはいえ、正直なところ途中途中の記憶が未だ曖昧だった。
深々と溜め息をつく。
断片的に残っている記憶は、さすがに逃げたくなってくるほど恥ずかしすぎる自分の痴態ばかりに溢れている。
……あ、泣きそう。

当のカーズさんはといえば、わたしに無理させたことを吉良さんに叱られている真っ最中らしい。
まあ、帰宅したらわたしが意識不明で、起こそうとしても起きなかったら心配もするよね。
吉良さんもプッチさんたちも、何があったかまでは知らないだろうけれど。

昼間のことを思い出して顔を真っ赤にし、視線をさまよわせていると、ちゃんとわたしの記憶が残っているのをカーズさんは察知したみたいだ。
ゆっくり視線を絡ませたかと思えば、にやり、と音が聞こえてきそうなほどに、途方もなくきれいな顔で笑った。

……分かっていたけど、まるで反省していないらしい。
腹が立って仕方がない、あんな、あんなことをしておいて、させておいて、

「……うぅー……」
「大丈夫か、なまえ」
「……ぜんぜん、大丈夫じゃない……」

顔が火照ってどうしようもない。
顔だけじゃなくて、耳や首までかっかと熱を持っていて、手がふるえた。
俯いて、は、と息を吐く。
いっそ、都合よく全部忘れられたら良かったのに。
こんなことになってしまった原因のカーズを心底憎らしく思わずにはいられない。
どうしよう、ほんとに涙が出てきた。

カーズさんに対して恨めしく思う気持ちは心からのもので、嘘じゃない。
……だから、カーズさんのその笑みを見た瞬間、胸の高鳴りにも似た、ぞくっと背筋をなにかがはしり抜けた感覚は、きっとただの気のせいだと思いたいのだけれど。

廃頽をもうひとくち頂戴
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