「ほら、なまえ、止まっているよ」
「うぅ……あ、っ、DIOさんの、手が、ふあっんん、っ、わ、わたしの、胸を、ひぅっ……! 〜〜っ、も、もうっ、プッチさん、ゆるしてくださいっ……!」

濡れた桃色の唇をふるわせながらなまえが必死に哀願すると、ぽろぽろとこぼれる涙をプッチは慰めるように拭ってやった。
慈しむように肌を撫でる彼の手付きは、おそろしく優しい。
追いつめるかのような情け容赦ない淫らな攻め手と、その対極にあるかのような柔和な口調で向けられる命令。
柔和な雰囲気や口調とはいえその実、有無を言わせずその意に副うことしか許されない状況に、混乱や羞恥でなまえはますます涙を溢れさせた。

「許す? ふふ、どうしてそんなことを言うんだい。私はただ君がDIOに触れられてどう気持ち良いのか、君のその愛らしい口で教えてほしいだけだ」

ブラウスもスカートも脱がぬまま、少女の衣服の下では吸血鬼の冷たい手が這いずり回っている。
興奮して痛いほどに張りつめていた乳房を揉みしだかれ、もう片方の手は既にぐちゃぐちゃにぬかるんで下着を汚している秘裂をゆるゆると往復していた。
なまえ自身よりもずっと彼女の身体を知り尽くした、DIOの絶妙な力加減と手付き。
気付けば露出させられていた肉付きの良いなまえの脚には、神父の褐色の手がゆっくりと這っていた。
熱く火照った全身と、どくどくと音高く響く自分の心音がわずらわしい。
どろどろにとろけた彼女の思考と肉体は更なる喜悦を欲してもどかしげに身悶えていたが、それでもなまえはあまりの羞恥で先程からずっとやわらかな唇を噛み締めていた。
長い間弄くられていた口腔や舌はひどくだるく、まともな呼吸すらままならないというのに。

――見えないから実況してほしいだなんて、そんな、そんな、

「(き、鬼畜すぎるでしょプッチさん……!)」

彼を最後の良心だと思っていたなまえにとってそれは思いもよらないことで、滴る唾液を飲み下すのも一苦労だった。
溢れた涙をその睫毛に纏わせつつ、少女は哀れなまでにふるえる。
後ろから彼女を抱き締めて快楽を与えていたDIOは、なまえの怯えや劣情を察知して苦笑を滲ませた。

「プッチがお前のどこがどう良いのか知りたいと言うんだ、友の頼みならば聞かぬ訳にもいかんだろう?」
「だ、だからってこんな、っん、あ、あぁっ、DIOさん、んああッ、だめぇっ……!」

見ることが出来ないために自分の身体の反応を逐一報告しなければならないというのならば、いっそ全て脱がせてほしいとなまえは息も絶え絶えにそう懇願したものの、神父はただにっこりと微笑して小さく首を傾げた。

「君が脱ぎたいと言うなら止めはしないよ。しかし君がそんなに愛らしく反応してくれるのが堪らないから、述べるのは続けてもらうことになるかな」

恍惚に潤む瞳をしながら口調だけはいつものように穏やかにそう呟いた彼から、なまえは逃げ場がないという現実を改めてまざまざと突き付けられ、目の前が真っ暗になるような気がした。

落花
- ナノ -