狭い浴室に、ぴちゃん、と、水滴の落ちる音が響く。
次いで、もう一雫。
しかしそれもすぐに別の音によってかき消された。

「んぅ、あ、はぅ……んっ、ふ、っはあっ……」

全身を泡まみれにされ、ぬるぬるとすべる肢体をいやらしくくねらせながら、なまえは音をよく反響させてしまう浴室内に嬌声を漏らさぬよう唇を噛み締めた。
向かい合ってDIOの脚を跨ぐようにして乗っかるなまえは、全身を苛む疼きにぴく、ぴく、と泡だらけの肢体をふるわせる。
吸血鬼はそんな少女を見て、ひどく満足げな笑みをこぼした。

共に風呂に入るのを微妙な顔をして拒否していた彼女を巧みに言いくるめてDIOが快楽を与えてやれば、いつものようにその抵抗も弱まった。
そう躾けた。
教え込んだ通り、喜悦にその身をふるわせながら腕の中で甘い声を漏れこぼす愛しい少女。
その姿を特等席で観賞し、征服欲や独占欲が満たされ、胸を貫かれるような陶酔すらDIOは覚えた。
はふはふと荒い息を繰り返す唇に己れのそれを重ねてやりながら、口を閉ざさないようにその口腔に舌を突っ込んだ。

湯気が充満し白んだ視界、狭い風呂場には声がよく響く。
いつもより耳に強く残るその水音と嬌声に、なまえは羞恥で更に火照りが増すのを感じた。
ふわふわとした泡が大量にDIOの手に乗せられ、身体中を柔らかく撫で回す。
泡や水でぬめりが増し、頼りなげにふるえる柔乳はいっそ下品なまでにてらてらと光って揺れている。
泡にまみれてすべりの良い指が、くりくりと固くしこり立った乳首を転がした。
そのままたわわに実った乳房を揉みしだかれ、なまえは噛み殺しきれなかった喘ぎ声を口の端からこぼした。

「っ、ふぁ……ん、あぁあ、ぁは、は……」
「随分と良さそうだがそれほど気に入ったか?」

違う、とゆるく首を振るものの、いつもとは違う感触と刺激に、彼女の肢体はいちいち愉悦を拾い上げてしまう。
狭い浴室内に充満する蒸気のせいで、なまえは一層頭がくらくらしていた。
ぬめる双球を弧を描くように揉まれ、それに合わせてくちゅくちゅと耳を塞いでしまいたくなるほど卑猥な音が、彼女の聴覚を犯す。
――恥ずかしい、耐えられない。
そのひどく淫らな音に我慢できず、なまえは逃げるように身を捩った。
すると、つるりとすべって乗せられた脚の上から落ちてしまいそうになる。
きゃあ、と小さな悲鳴を上げた少女に喉奥で低く笑い、DIOはそのか細い身体を抱えた。

「ちゃんと触ってやるから、そう積極的に急かすんじゃあない」
「ちがっ、違うの、っ、ひゃぁっ! あぁうっ、はあっ、は、ぁんっ」

ぬめる肢体を強く抱きすくめられ、大きく脚を開かされる。
なまえは抵抗する間もなく、泡まみれの秘裂によって怒張を擦るように、上下に揺すぶられた。
ぬるぬるとすべる身体、厚い胸板に押し潰されるようにそそるようなやわらかく熟れた美房はにゅぷにゅぷと淫猥な音を立てて形を歪める。

開脚させられ、媚肉の割れ目に熱く滾った肉棒が滑り込み、彼女のとろけた花唇をぐちぐちと擦り上げる。
赤黒く大きな肉塊が、既にだらしなく愛液を溢れさせていた蜜口や、固く屹立した秘豆を擦り、ちかちかと視界の白むような疼きが、なまえの全身を駆け巡った。
敏感すぎる痛いほどに張り詰めた突起を断続的に擦り上げられ、彼女の大きく開かされた内腿がぶるぶるとふるえる。
その痺れるような疼きから逃れたくとも、先程のように脚の上からすべり落ちてしまうかもしれないとの思いがよぎれば、その身じろぎも小さなものになってしまう。

不自由な身体は、彼に支配されているという感覚を否応がなしに高めた。
その思いがますます彼女の被虐の悦びを掻き立てる。
自分の意思など塗り潰され、なまえという人間全てを犯されていく錯覚すら、堪らない快楽になる。
そう教え込まれたなまえの身体は、隷従感にすらぞくぞくと突き上げられるような興奮を覚えた。

ほっそりとした白腕が、男の首に回される。
ぬめる身体をなまえ自身だけでは上手く支えることが出来ない。
身も心も全て、DIOに委ねる。
閉じ込めるように背に回された逞しく太い腕も、心地良い。

くちゅ、ぐちゅ、にゅぷり。
たっぷりの泡がいやらしい音を立てる。
容赦なく上下に揺すり立てられるたび、泡に花唇から溢れ出した愛液も混じり、更にぬちゅぬちゅとおそろしく淫らな音を響かせてしまう。

「あぅ、んっ、あ、……ひぅっ、ぅくああっ! DIOさ、ひぁあっ、DIOさんっ、だめ、もっ、なまえっもういっちゃ、いっちゃうぅっ」
「っは、そのまま先に一度達して良いぞ」

なまえが泡だらけの肢体をくねらせる。
彼が残した噛み痕や吸い痕の散らばる白い喉を曝け出して、大きく背が反った。
漲った怒張に固く膨らんだ花芽を自分から押し付けるような体勢をしていることに、なまえ自身は気付いているのだろうか。
無意識に更に強い喜悦を貪欲に追い求める女に、DIOは世の女性ならば皆うっとりしてしまうだろう淫蕩な笑みを浮かべた。

強すぎる法悦に慣れていなかった過去、許容量を超えるその感覚が怖いと泣いて怯えていたというのに。
じっくりと躾けられた肉体は今や、これほど淫靡に、猥雑に、そしてどこまでも清らかに愛らしく腕の中で乱れている。
筆舌に尽くしがたい酩酊と背徳感。
くつくつと笑みがこぼれるのを堪えることなく、それは水音と嬌声の反響する浴室に混じっていく。

凶悪な肉棒の切っ先に、痛いほどに屹立した秘豆を突かれ小刻みに揺すぶられ、一際甲高い声を上げてなまえは果てた。
はあっはあっと荒い息を吐きながら、絶頂の余韻でふるえるか細い身体。
なまえは一瞬前の強張りが嘘のように、ぐったりとDIOに身を預けた。
彼はまた笑みをひとつこぼすと、たっぷりと水分を含んで額に張り付いた髪を払って耳にかけてやりながら、濡れた目尻に唇を落とす。
なまえは愛らしく上気した頬を恍惚に染め、吸血鬼の白皙の美貌にとろりと目を潤ませて見惚れた。

空洞をはやく埋めてほしいと蠢く膣孔からは、急かすように蜜液がだらしなくこぼれている。
のぼせて意識を手放してしまいそうなほど火照った身体に、吸血鬼の冷たい肌が心地良い。
なまえは無意識にぬめる肢体をすり寄せながら、湿気を孕んで常より一層艶やかに光るゴールデンブロンドの髪に指を通した。
髪、耳の後ろ、うなじを通って首を一周する傷痕まで、つ、とねだるように指先をすべらせば、ルビーの瞳が細められ熱を持ってギラギラと輝く。
その目を見て、なまえはまるで身体中を電気が走ったかのような興奮を覚えた。
DIOの血のようにぬらりと光る瞳の中に、自らを渇望する色が燻る。
それを見付け、なまえは淫猥に小さく微笑んだ。

首の傷痕を撫でていた指をそこから離し、DIOの形良い唇に伸ばし、ゆっくりとなぞる。
意図を解した男は喉を鳴らしてその手首を握り引き、なまえの望み通り、その唇を深い口付けで塞いだ。

泡沫に耽溺
(2015.01.18)
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