「ん、っ……!」

たわわに実った乳房が、冷たい床へ押し付けられています。
豊かな双球はむにゅりと卑猥に形を変え、見る者に極上のやわらかさを伝えてきます。
男の視線に晒され続けた乳肉は、雄の欲望を掻きたてるには余りあるほど淫らに熟れておりました。
なまえの美しい黒髪が、はらりと床へ広がります。
彼女は潤ませた瞳から、とうとうぽろりと雫を一粒落としてしまいました。

「ああ、泣かないでください。まるであなたを虐めているようだ」
「はい、昴さま……」

唇だけではなく声すらもふるわせて、なまえが囁きます。
自分の髪の毛先が頬に触れるだけで、ぞくぞくと身体の奥底から疼きが湧き起こってきました。
それほどまでになまえの肉体は追い詰められ、直接的な喜悦を求めていたのです。

しかし健気にも彼女はその衝動を堪え、這いつくばった姿勢のまま、ゆっくりと舌の伸ばします。
なまえの可憐な桃色の唇が、とうとう冷たい板張りの床へ落とされました。

「ん……ぅん、っ、ふ、」

ぴちゃ、くちゅ――静かな部屋にあられもない水音が響きます。
息継ぎの合間、口の端から垂れた粘液を舌先でぬぐっていると、お薬や唾液でぬるぬると光る赤い舌に、昴さまの視線が刺さるのを感じます。

「ん、んむ、ぅ……っ、んく……」

時折、ぢゅる、ぶちゅ、と下品な音も立てながら、なまえは懸命に床にこぼれたソレを飲み下していきました。
そうして獣のように四つん這いになり、惨めに床を舐め、薬品を摂取していると、――元々なまえに備わっていた、倫理観や常識というものが徐々に壊されていく心地がいたしました。

昴さまの足元で床に這いつくばり、一糸纏わぬ姿で熱心に床を舐めるなまえを、窓から射し込む穏やかな陽光が照らしておりました。

「ああ、全て飲めたんですね」
「は、はい……」

無理な体勢のためでしょうか、は、は、と息を荒げてなまえはお答えします。
とうとう床は雫一粒すら残さず、きれいになっておりました。

「んぅ、はあっ……」
「よく出来ましたね」
「っ、なまえに、お薬をくださいまして、ありがとうございます……」

床に這う屈服の姿勢のまま、彼を見上げてなまえは目元をとろかせました。
ぽってりとした口の端からは唾液が一筋垂れており、浮かぶ表情は、見る者全ての劣情を煽るようにひどく淫猥でした。
ただでさえ微量の催淫剤を与えられていた身です。
昴さまのくださったお薬は――更に強い媚薬だったようです。

「っ、あ、あ……はぁっ」

なまえは息を荒げ、しどけなく晒された総身を波打たせました。
――早くも薬の影響が現れているのでしょうか。
一息ごとに肉体の温度が上昇していく心地がいたします。
それに伴い、脳髄が煮崩れていくような錯覚に襲われました。

欲しい。
もっと直接的な、気持ちいいのが欲しい。
はやく、はやくなまえを犯して。
そう口走らなかっただけ、忍耐強いと褒めてほしいほどでした。

なまえはいつの間にか、くまなく全身にうっすら汗をかいておりました。
床に這ったまま、汗みずくの肢体で苦しげに身悶えしています。
衣類を一切身に着けていないため、浮いた汗が上気した肌を流れ落ちる淫猥な様子はよく見えました。

はやく、はやく。
苦しいの、はやく、気持ちいいのが欲しいの。
――本当に、実際に口に出してはいなかったのでしょうか?
悦楽でとろけた思考では、自分がなにを言っているのかもよく分かりませんでした。

いっそのことなまえを乱暴に組み敷き、無理やり犯し、胎(はら)を埋めて暴力的に突き上げてほしい。
強制的に絶頂へ追いたて、嬲(なぶ)り、蹂躙してほしいとすら望んでいました。

「あ、あぁ、ひ、んああっ……」

どろどろに全身を溶かされているのにも関わらず、その実一度も触れられてすらいない肉体。
内を焦がし続ける焦燥に耐えられず、なまえは救いを求めるように、己れをじっと鑑賞している男を見上げました。

「可哀想に。苦しそうですね? なまえさん……」
「あ、はあっ、す、すばるさまぁっ……!」

なまえは尻だけを上げた惨めな四つん這いの体勢のまま、もじもじと細腰を揺すり立てていました。
愛らしい唇からは、恍惚とした嬌声がひっきりになしに漏れ出ます。
そのさまは浅ましく発情した雌犬そのもの。
彼女の意思とは関係なく、熱く爛れるほどぬかるむ膣粘膜が、雄を求めてヒクヒク切なげに収斂しているのをなまえはようく自覚しておりました。

「なまえさん、苦しんでいるあなたを助けてあげたいのですが……どうしたいですか? あなたの希望を聞きましょう」

それはそれは優しげな声音で、昴さまはなまえへ微笑みかけます。
その微笑は彼の端整な容貌と相まって、ぞくりとするほど甘美なものでした。

自分を苦しめている張本人だというのに、しかしいまのなまえにとっては、この苦しみから救ってくださる唯一の御方です。
ほとんど悲鳴に近い声で、慎みなど忘れなまえは懇願いたしました。

「――すばるさま、昴さまに、触れていただきたいですっ、なまえの淫乱な身体に、どうかぁっ……!」

助けてください、となまえは叫びました。
発情しているのを隠そうともしない、どろどろにとろけた声でした。
なまえ自身の淫らな悲鳴が肉体の内へと響き、そんな刺激にすら熱く疼く子宮が騒ぎます。
もう脳も身体も不思議とふわふわして、全てが快楽神経へと直結しているのです。

「良いでしょう、きちんとお薬を飲めたご褒美をあげましょうね」
「は、はいっ……!」

悦楽にとろけたメスの顔で、なまえはとびきり淫らに微笑みました。
悩ましげな腰を期待にくねらせれば、未だ一度も触れられていない隘路から、くぷり、とまた甘露がこぼれ落ちるのが分かりました。


(2018.11.24)
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