引きこもりがちのディアボロさんと、特に外に出る必要もないわたしは、一日中一緒に家にいることが結構多い。
そのため暇を持て余して、パソコンをいじっているディアボロさんのお邪魔をして、ゲームや某掲示板を一緒に見ることが多々ある。
ちなみに今日はディアボロさんのプレイするオンラインゲームの観戦、なう。

「ねえ、ここで攻撃しちゃ駄目なんですか?」
「まだ待て、あっちに味方がいるだろう、そいつにやらせた方が効率が良い。それにこちらに気付いていない近くの敵に見付かる恐れがある」
「近くの敵……? あ、本当だ隠れているけど確かにいますね、ここ」

いまやっているのは、MMOに分類される多人数参加型のTPSゲームだ。
ゲームに詳しいという訳ではないわたしでも、ディアボロさんがレベル的にも戦術的にも秀でているのが分かる。
そういえばこの人、大組織のボスだったんだよなあ忘れていたと存外失礼なことを考えながら、無双しているゲームのなかのキャラクターを見る。
ゲームのなかでくらい死なないようなポジションで良かったですねなんて、言えるはずもない、うん。わたし優しいからね!

華々しい効果音が鳴ってディスプレイを見れば、どうやらディアボロさんのチームが勝利したらしい。
他に参加していた人たちの成績やコメントが表示されるなか、後ろから抱きかかえられて一緒にパソコンのディスプレイを見る。
あっこの人日本人なんだ、と、このゲームでは珍しい日本人の参加者の名前を確認しようとしていると、さっきまでコントローラーを握っていた手がわたしのお腹に伸びてきて、さわさわと動き回った。

「……ディアボロさん、なんですかこの手」
「次の対戦まで時間が空いて暇だからな」

お腹や胸の上にまわされた腕を、指先でぎゅっと抓る。
暇潰しに女の子にセクハラするなんてどうかと思う、本当に。どうにかしてこのボス。
それに多分、用事があるとかで外出したドッピオくんももう少ししたら帰宅する頃だと思うんだけれど。

「離してくださいディアボロさん、ってちょっと、っ! ん、耳はやめてくださいって前から言ってるじゃないですか!」
「目の前にあったから、ついな」
「ついって、あ、っ、だからやめてって……ディアボロさんのばかっ、ひ、あっ!」

後ろから強く抱き締められ、それに抗議するように腕をぺちぺちと叩いていると、その腕ごと拘束されてしまう。
これは本格的にまずいと判断して縫い止める腕から逃げようとするものの、時既に遅し。
首筋に小さくキスされたかと思えば、突然、耳をぴちゃりと舐められた。
耳が弱いと知っていての行動に、背筋がふるえ生理的な涙がじわりと浮かぶ。

耳元でうるさい程に響いたその水音は、カッと身体中を熱くするには充分すぎるくらいにいやらしい色をしていた。
ちゅくちゅくとわざと音を立て、やわらかな舌が耳の縁をぬるぬると動く。
制止しようとした言葉は、そのまま不明瞭な喘ぎ声に変わってしまう。

唇を耳にぴったりくっ付けられているせいで、吐息も唇が動くのもダイレクトに伝わってくる。
直接耳から脳みそまで、何から何まで全部、犯されてるみたい、で、

「ひっ、や、やだぁっ、それやめてっ」
「それって何だ?」
「あ、あぁぅ、それ、なめちゃ、や、」
「舐めるのが駄目なら噛むのはどうだ?」
「ひぅっ」

甘噛みされる硬い歯の感触に、肌がゾクゾクと粟立つ。
そのまま言葉を発されれば、なまえは吐息にすらぴくっと身体をふるわせた。
ディアボロにやわらかな耳たぶを甘噛みされ、なまえは感じているのを全く否定出来ないほど色めいた嬌声をあげる。

「はは、お前は本当に耳が弱いな」
「あぅ、あ、あ、……っや、ディアボロさ、だめ、あっ、……やぁっ!」

なまえはびくびくと弓なりに背をさらし、唯一自由な脚をばたつかせた。
その身悶えは後ろから抱え込まれ、徒労に終わってしまったが。

パソコンのディプレイはとうにスクリーンセーバーに切り替わり、無機質な黒い画面を表示していた。
真っ黒な画面に反射して、なまえの顔が映っている。
ぎゅっと目をつむり、襲われる喜悦にふるえながら耐えている表情。
その顔は真っ赤に上気し、発情した牝の顔を晒していることに、彼女は気付いているだろうか。
なまえは愉悦に潤んだ瞳をなやましげに細めるものの、それでも残った理性が邪魔をするのか、拒否を示していやいやと首をよじって逃げようとした。

その抵抗を見て、ディアボロは甘噛みしていた耳たぶから唇を離し、その小孔に舌をねじ込んだ。
ぐちゅ、ずちゅ、とあられもない下品な水音にゼロ距離で襲われ、なまえは一際高い声をあげてその身を弓なりにしならせる。
そのまま吐息まじりにぢゅっと吸われ、まるで絶頂に至ってしまった時のようにびくびくと下肢がわなないた。
もしかしたら軽く達していたのかもしれない。

「ぅあああんっ! や、あ、あぁ……」
「はっ、ん、耳だけでイケるか試してみるのも面白いかもしれんな」
「ぁふ、あ、もっ、やだぁ……! ひぁ、ぁああぅ……」
「何が嫌だ、だ。そんなに喜ぶな」

いつの間にか無意識に擦り合わせていた太腿の内側をするりと撫でられ、大袈裟なまでに少女の肢体はびくっとふるえた。
なまえの素直な反応に自然にゆるむ口の端。
ディアボロがくっくっと意地の悪い笑い声をこぼしつつ、かたくなに開こうとしない両脚の間、その秘裂に無理に指を伸ばせば、そこからはぐちゅっ、と決して否定出来ない程に大きな水音が響いた。

「……なまえ、」
「やだやだやだっ、もうっ、ディアボロさんのばかぁ……!」
「まだ何も言ってないだろう。それにしても、なあ、耳舐められただけでこんなにしたのか。これならならす必要もないんじゃあないか?」
「っ、うう……もう、ディアボロさんなんか、知らない……」

自分の淫らすぎる反応を指摘され、俯きぐすぐすと鼻をすすって恨み言を吐くなまえ。
その愛らしい姿にディアボロはますます嗜虐心を煽られ、首まで桜色に上気したうなじに吸いつく。
びくんと大きく肩をふるわせたのに気を良くし、ぞろりと耳の後ろまで舐め上げた。
声をあげて抵抗しようとしたのを、未だ花芯に這わせていた指を思い出したように唐突に動かし、封じる。

「ひゃああっ! あ、あぁん、っ、ディアボロ、さんっ……!」
「ぐちゃぐちゃだな。そんなにイイのか、」

コレ、と耳穴に舌をねじ込みながらディアボロが吐息混じりに呟けば、なまえは一層高い声を響かせてあっけなく達した。
がくがくと痙攣する肢体と、力が入って真っ直ぐにピンと伸びた脚がなまめかしい。
はふはふと荒い呼吸でせわしなくその豊かな胸を上下させつつ、必死に息を整えようとするなまえの頭に軽くキスを落とす。

「なまえ」
「はぅ、あ、あ……ディアボロさん、や、やだ、」
「ここまでしておいてやめれると思うか? お前もオレも」

ディアボロが服のなかで窮屈に張りつめたソレを少女の腰に擦り付けると、なまえはびくりとふるえて逃げるように首をゆるやかに振った。
彼女の肩に顎を乗せ、ちゅ、ちゅ、と耳元や首筋に戯れのような小さな口付けを繰り返し、あの、だとか、う、と何かを言いかけるなまえの躊躇いを優しく促してやる。
不明瞭な呻き声をこぼすなまえに根気よく付き合っていると、少女はとうとう観念したのか、恥ずかしそうに目尻に涙を浮かべて、ちらりと振り返ってきた。

「あの、……この体勢、ディアボロさんの顔が見えないから、いやです……。ま、前から、して……?」

羞恥に染まった表情で上目使いに囁かれる。
その愛らしいおねだりに、ディアボロは危うくこちらがもたなくなりそうだと密かに息をついた。
セックスなんて慣れた行為だというのに、相手がなまえという事実だけでガキのように自分でも驚くほど興奮している、と彼は薄く苦笑した。

「おおせのままに、ミエーレ」

蜂蜜、と呼びかければ、その言葉通り甘くとろけた顔でなまえは微笑む。
向き合うように抱え上げ、伸ばされた腕を首の後ろへと回させると、少女は縋るように彼の頭を引き寄せた。

「ん、ディアボロさん、ね、キス、してください」

未だ恥ずかしげに目線をさまよわせながらも、小さくはっきりと囁いたなまえに、そういえばまだ今日は一度も口付けていなかったことにディアボロは気が付いた。
この少女はまるで本当に蜂蜜のように甘い。
その細い腰を支えながら、男は小さな愛らしい唇にキスを贈った。

ミオ・ドルチェ
(2014.10.25)
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