バサ、と音がしてそちらに目を向けた。
畳の上で横座りして読書をしていたはずのなまえが、テーブルに伏せって居眠りしていた。
先程の音は、どうやら読んでいた本が手から落ちたのが原因だったらしい。
そういえば昨夜も遅くまで起きていたなと思い返し、彼女の手から離れ、中途半端にページのめくれた本を閉じる。
ついでに、顔に垂れかかった髪をよけ耳にかけてやると、少し身じろいでカーズの手に頭をすり寄せた。
その無意識の行為に、小動物に対するような愛らしさを覚え、口角が緩むのが分かる。

それにしても、とカーズは首を捻った。
テーブルに俯せるこの体勢は、いつだったか、同じことをして首や肩、背中が痛くなったとこぼしていなかったか。
全く学習能力のないヤツだと呆れ、完全に力の抜けた少女を抱き上げ脚の間に座らせて横抱きにする。

「ん……カーズさん……?」

薄く目を開け、ぼんやりと舌ったらずに呟いたなまえに起きるかと声をかければ、何やら不明瞭な呻き声を上げて、少女は彼の胸元に顔をうずめた。
どうやらうたた寝程度ではなく、本格的に眠りに入りたいようだ。
仕方なく床に降ろして横に寝かせてやろうとしたものの、なまえは彼の長い深紫色の髪を一房握り締め、むずかるようにそれを拒否した。
余程眠たいのだろう、カーズは寝汚いのは困りものだなと溜め息をつき、彼女のしたいようにさせる。

しばらくそのままにしていたが、暇潰しに手を出したなまえの読みかけの本も、ただの人間の書いたそれは特にカーズに感慨を与えることなく、早々に読み終えてしまった。
手持無沙汰に見下ろせば、なまえは健やかな寝顔を無防備に晒して、その小さな口を薄く開けて深く眠り込んでいた。

ふと、カーズは大した目的も意図もなく、誘うように開かれた淡い桃色の唇を指先でなぞった。
くずれそうなほど柔らかなそれは彼の指先を従順に受けとめる。
更に奥へと誘うように薄く口を開けた。
そそられるままに身を屈めて自分の唇を落とす。

「ん……」

二度三度と戯れのように軽く繰り返すが、なまえは僅かに声を漏らすものの、全く起きる気配はない。
ならばどこまですれば目を覚ますだろうかと、くだらない好奇心が沸き起こった。
どうせこの体勢のまま動くことも出来ず、暇なのだ。
この程度のベッド代を請求しても良いだろうと、その興味の赴くままに脚の爪先から足首、ふくらはぎを通って、膝裏まで撫で上げた。
女性特有の柔らかくそれでいて弾けるほど瑞々しい肌は、彼の手を喜ばせる。
カーズはひとしきりその感触を楽しむと、窪みに深く影をつくる鎖骨に口付けた。
いつもは身を捩って逃げようとするなまえの身体は、人形のようにどこまでも従順にそれを甘受する。
完全に力の抜けた無抵抗な肢体。
ゾクゾクと背筋を這いあがってくるような愉悦を感じ、ペロリと舌なめずりした。

Tシャツを捲り上げ、邪魔な下着も同じように上へずらす。
途端に、たわわに実った真っ白な柔乳が弾け出た。
無遠慮にその双球をつかめば、ぴくりとなまえの身体がふるえる。
その白い肉の中に指先が深く沈み込み、そそるような柔らかな美乳が、手の動きのまま意のままに形を変える。
こういった行為に慣れていなかった処女の頃は、その刺激に痛みを覚えて涙を湛えて身を震わせていたものだったが、今やその豊かな双球は、いやらしく男の欲望を掻きたてるには余りあるほど淫らに熟れている。
自分が育てたも同然の美房を揉みしだくと、薄紅色の突起がツンと立ち上がってきた。

「んん……ふ、」

小さく漏れ出た甘い声にやっと目を覚ますかと顔を見るが、どうやらよっぽど眠たいのだろう。
眉を寄せ、僅かに身じろいだものの、目を開ける気配はない。
こうして姦濫な乳房を揉みしだけば、意識はないというのに弄ってほしげに色付き固くしこり立ってくる乳首のいやらしさに、人知れず嘆息する。
学生とはいえ成人した女性だというのに性行為は愚か、口付けすらまともに経験したことのなかった未成熟な生娘。
それをなんと淫猥な女に育て上げてしまったものかと。
自分でも笑いがこぼれてしまうほどの逸品に、底の見えぬ恐ろしいほどの満足感と征服欲を覚えた。

なまえの呼吸に合わせて頼りなげに揺れる、目の覚めるように白い双球に、誘われるがまま唇を寄せる。
とろけそうなほど柔らかなそこで、唯一はっきりと分かる固くなった乳首を敢えてよけ、そのすぐ横に鬱血痕をつけた。
自分がつけたそれを舌でなぞる。
そして時間をかけてからゆっくりと、ピンと尖った赤く色付くそこにやっと触れた。
その瞬間、ぴくんと揺れた肢体に本当は起きているのではないかと疑うが、なまえは深く寝入ったまま。
無意識でこの反応はいささか敏感すぎて心配になるなと他人事のように低く笑うと、瑞々しく張った突起を舌で転がす。

「ふ……ん、んんぅ、はあ、ぁ、」

小さな愛らしい口を微かに開け、途切れ途切れにか細い声で甘やかな声を漏らすなまえは、目を閉じたまま眉を寄せている。
その苦悶の表情は、男を煽るには充分すぎるほど。
まろやかな膨らみを鷲掴み、その尖りきった先端を甘噛みした。
それにも従順に反応を返すなまえが愛しい。
ひとしきり舌で嬲り、絡め、淡く噛み、噛み痕を首筋にも残して、脇腹を撫でた。

その手を下腹部に伸ばし、下着の横から指を差し入れれば、くちゅりと湿った音が小さく聞こえた。
眠ったままだというのに、彼女の身体から出たその淫らな水音に、形の良い口角が上がる。
芸術品のように美しい指先でその淫唇を割り開き、いやらしく潤む膣肉に指を一本差し入れた。
与えられた刺激に歓喜したナカは、離すまいとするかのように蠢く。
わざと指を少し曲げ、その口を開かせて空気の通り道をつくった。
その状態で手を動かせば、じゅぽじゅぽと、この愛らしい少女から発されるとは思えないほど下品で猥雑な音を響かせた。

「あ……ふ……ぅ、んっ、んっ」

小さな桃色の唇からこぼれた唾液が、口の端から垂れた。
それを舐め取り、二本に増やしていた指を膣粘膜から引き抜けば、女の匂いが強くなった気がする。
ぬちゃ、と糸を引いて離れた自分の指を見て、カーズはどうしたものかと首を捻った。
ここまでして途中でやめる選択肢はハナから存在しない。
しかし深い眠りに落ちているにも関わらず淫らな反応を示すなまえに興が乗って進めてしまったが、このまま眠っているなまえに手を出すのはいかがなものかと。
意識のない女を犯す趣味はない。
相手がなまえというだけで昂ぶりを掻き立てられたが、――なにより、いつものように潤んだ瞳で必死をこちらを見上げ、舌足らずに名前を呼びながら、細い腕で懸命に縋りついてくるなまえが見たい。

「なまえ、」

浅く息を繰り返しわななく唇に、呼吸もさせぬほど深く口付けを与える。
舌で上顎をなぞり、歯の裏をくすぐる。
力の抜けた舌を良いように弄び、口の端から垂れた唾液を舌全体でベロリと舐め上げた。

「んぐっ……――えっ、あっ、カーズさん!? なに、……っ、なんで、あっ、んんぅっ」

ぱっと目を開けたなまえの顔が、驚愕に歪む。
乱れた自分のあられもない格好を認識し、暴れ出しそうになったなまえ。
カーズはその抵抗を封じて、また深く唇を重ねて言葉を奪った。
蜜壷に再び埋めた指をぐちゅぐちゅと音を立ててかき回せば、少女は大きく目を見開き、脚をばたつかせてその手から逃れようとする。
その暴れように、やはり眠ったままの方が良かったかもしれないなと、カーズはひとり喉の奥で笑った。
床に爪を立てて身を捩り逃げようとする体を押さえ込み、熱くぬかるむ濡れ壁をぐりぐりと引っ掻く。
人差し指と中指を挿入したまま同時に、親指で敏感な芽を弾くと、少女の総身はびくんと大げさに跳ね、ぎゅっと蜜孔が収斂した。
それに気を良くして少しだけ乱暴に指を動かせば、なまえのはじめパニックになりかけ抵抗していた動きは、やがて絶頂へと達するのを耐える、ひどく悩ましげな身悶えに変わる。

「あああぁっ、やだ、やだ、うそっ……! やっ、あっ、あうぅ、か、カーズさ、やだぁっ、ああっ! ひっ――!」

小さな口を大きく開けぎゅっと目を瞑り、その凶暴な快感に抗えず、強制的に快楽の頂へ跳ね上げられたなまえは、瞬間、全身を硬直させた。
身体は快楽を追いかけてその愉悦に塗れきっているのに、気持ちも思考もそれに伴っていない。
その突然与えられた大きすぎる法悦に、なまえは混乱しつつも、慣れ親しんだカーズの身体にぐったりと身を委ねた。

絶頂の余韻できゅうきゅうと切なげに締め付けてくる媚粘膜は、彼の長い指をもっと奥へと誘う。
達したばかりだというのに更なる快感を求め蠢く隘路の貪欲さに、男はひどく淫猥な笑みを向けた。

「――さあなまえ、何が欲しいか言ってみろ」

眠りの蜜を深く召しませ

(2014.08.08)
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