<あーいや…うん、今コガネシティにいる>

やっと繋がった名前への電話。どこにいるのか問うと、これだ。一瞬言葉を忘れてしまった。なんでそんなところに。

「はっ、…いや、え?」
<わたしね。けっこう寂しがりなんだよ>
「はあ?」
<ここ最近、私たち会ってないよね。グリーンはどう思ってたか知らないけど、私は寂しかった>

足元が急に不安定になった。目の前がどんどん暗くなって、胸の中は言い表せない不安感でいっぱいになる。

「名前、」
<グリーン、わたし貴方が好き。それは貴方もしってるでしょ?>
「!…ああ、しってる。俺もだ」

すうっと周りの影がひいて、明るさが戻ってきた。考えていた最悪の結果にはならないようで、ふうと軽く息をついた。

<…ありがと。だから貴方のところに私も行く。置いていかれるのはもう嫌なの>

じゃあね、と名前はそこで通話を切った。どういうことなのかを追求しようとリダイヤルするが、応答はない。もう無機質な機械音しか再生しないポケギアをしばらく見つめ、俺はどうしてこうなったのかを一生懸命考えた。


どういうことだ?どうしてジョウトにいるんだ。俺のところに来るって、なんなんだ。

慌ててピジョットの入っているボールを掴んで外に出ようとするが、やめた。おそらく、今からコガネシティへ向かってももう名前はいないだろう。なんとなくそんな気がした。



「グリーンさん、今の名前さんですよね」
「ああ…わけわかんねー。どうしよ、俺ふられるかも」
「いやいやいや好きっていってたじゃないすか。丸聞こえですよこっちがはずかしい」
「じゃあどうして会いに来ないんだよ。電話だってもう繋がんねえし!」
「まあまあ落ち着いてください挑戦者来てますよ」
「うっせーやってられっか!俺はもう帰るからな!」


(というわけなんで挑戦者さん、今日は諦めて帰ってください)
(えええ!?)






*






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -