ぼんやりと空を見上げていると、遠くでリザードンが視界を横断した。大きく羽ばたきゆっくりと優雅に飛んでいく。

(でもあれって、速さが半端ないから寒いし痛いしであまり飛び心地はよくないんだよね…)

段差に腰掛けて足をブラブラさせながらリザードンを目で追う。あのリザードンに乗る人はどこから来たんだろう…あっちから来たってことは、ジョウトの人だろうか。ってことはシロガネヤマを越えたのか…さすがリザードンさすが。
そんな事を考えている内にリザードンの姿はどんどん小さくなってやがて見えなくなった。

(リザードンかぁ…そういえば前に会ったリザードンはすごいかっこよかったなー紳士的だったし)
「お前、さっきからそこにいるけどジム挑戦しねーの?」

と、声をかけられて後ろを向くと、ツンツン頭の生意気そうなお兄さんが窓から私を見ていた。

「あ…ここジムだったんですね」
「それも知らなかったのかよ」
「座れそうなとこ探してただけなんで」
「フーン」

お兄さんはいつの間にか外に出てきて私の隣に腰を降ろした。高そうなジーンズが砂に汚れる。もったいない!

「ジムって暇なんですね」
「まーな。でもお前もひとのこと言えないだろ」
「今は暇ですけど、さっきまでリザードン見てたので暇じゃなかったです」
「リザードン?」
「あそこらへんを、こう、ビューンと飛んでいったんです」
「へえ…?」

あのリザードンが飛んでいた辺りを指指すと、お兄さんは難しい顔をしてポケギアをとり出した。だがどこかへ電話する仕草はなく、ヨイショと立ち上がる。

「悪い、用事できたわ」
「わあ暇卒業ですね」
「まあ、また暇だったら来いよ。じゃあな」

ポケギアを操作しながら、ボールからピジョットを出す。お兄さんはその子に飛び乗ると空へ舞い上がった。
ピジョットの上のお兄さんはなんだかポケギアに見つめながら顔をしかめている。口をパクパクさせているし、どうやら誰かと話しているみたいだ。
一応サヨナラと手を振ると、お兄さんはこちらに気づいて手を振り返してくれた。なんとなく嬉しくなった私はジムの看板に目を向ける。

「トキワジム、ジムリーダー…グリーン」

グリーンさんか、覚えておこう。
随分小さくなってしまったピジョットをもう一度見て、私も立ち上がった。


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