ここ最近、グリーンからの連絡がない。電話してみるが、あっちが圏外のようでつながりもしない。
さすがに心配になってトキワシティへと降り立った私はすぐにトキワジムへ向かったが、やっぱりそこにグリーンの姿はなかった。

「グリーンさん…ですか?あー、何日か前に留守にするっていって、それきりですよ。今までもこういうことありましたけど、最近多いんですよね」

と、ジムトレーナーの一人であるタクヤの証言だ。オ―キド博士やグリーンのお姉さんにも電話してみたけれどなにも聞いていないらしい。

「そういえば、シロガネヤマに行くっていってましたよ。なんでも知り合いがそこにいるんだとか」
「シロガネヤマ?…うん、わかった。行ってみる。ありがとう」

肩を落としてジムを出ようとすると、レイジが思い出したように教えてくれた。ジムを出てトキワシティをぶらぶら歩く。

シロガネヤマ、そこは全てのジムバッチを集めて初めて入ることが許される場所。険しい森を抜け、ようやっと山にはいれても、自然が牙をむいて襲ってくる。そんな場所に住む野生のポケモン達ももちろん強く、ジムバッチを全て集めた強者でも生半可な覚悟じゃ立ち入らない。そんな場所に、グリーンはいるのだという。

『 知 り 合 い 』?

その単語に出てくるのはジムリーダーの面々ばかり、それ以外の彼と交流がある人を私は知らない。狭すぎる世界に思わずため息をついた。
リーダーたちはジムがあるから、シロガネヤマなんて危険な場所に時間をかけてまでいくはずがないとはわかっているのに。
恐らく、今回も繋がりはしないだろうとポケギアの通話リストにある『グリーン』を押そうとして、やめる。

シロガネヤマに行ってみるねとは言ったものの、私は全てのジムバッチを集めているわけではない。よって入山許可はおりない…オ―キド博士に頼み込んでも無理だろう。


知り合い?
誰ですか。そんな場所にいる大馬鹿野郎は。そんなに大事な人なの、だから会いに行くの?私より…

いいようのない焦燥感にかられ、早足でマサラタウンに戻る。


「おかあさん!」

暴力的に家のドアを開けて、靴もそろえず居間にむかう。壊れるからふつうに開けなさいっていうお母さんの怒りの御言葉も無視して、おかあさんの真向かいにどっかりと座った。

「わたし、旅にでる」







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となりのひと はヒロイン視点とグリーン視点が交互になります。



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