「ああああと二匹…」
「あーもうレイジうっさいだまって見てなよ」
「でもでもでも」
「そうだよ黙って見てなよ」

二時間弱風の中にいたせいでぐしゃぐしゃになってしまった髪の毛を直しながら言う。こちらを向いた2人はたっぷり三秒固まって、叫んだ。

「名前さーん!?」
「おおおかえりなさい!?」
「はい、ただいま」

タクヤが何か言いたそうにしたが、見なかったことにしてにこりと笑う。今のバトルの状況を話すようレイジを促した。

「挑戦者が四体目、ギャラドスですね。グリーンさんは五体目…サイドンです。タイプの相性はこちらに不利です。」
「レイジから見て敗因は?」
「まだ負けてないですよ!?…今日のグリーンさんはなんだか集中出来てないようにみえます。そのせいですかね…」
「あはは、タクヤと同じこと言ってる」

驚いたようにレイジがタクヤを見た。それと同時にタクヤは目をそらす。漫才のような動きにもう一度笑うと、グリーンのほうへ身体を向けた。

「グリーン!元チャンピオンの実力はそんなもんなの!?レッドが遠いぞっ」

そう叫ぶと、グリーンは目を丸くしてこちらを見る。

「おまっ…サイドンよけろ!10万ボルト!!うるせー、黙ってそこで見てろ!逃げるなよ!」
「全部言うよ!勝ったら、ね!」

グリーンはもうこっちを向かなかった。横顔は先ほどとは打って変わって、落ち着いている。口元には笑みすら浮かんでいた。









「さあ、話してもらおうか」
「ねえ私苦戦してるって聞いて飛んできたんだけど。切り替え早くない?」
「誰のせいで集中できなくて苦戦してたと思ってんだ」

んー?と顎を思いっきり掴まれて唇がタコになる。すいませんでしたと言っても上手く発音されない。


私がジムに着いて声をかけてから数分後、あっという間に挑戦者を敗ったグリーンはすぐ私に駆け寄った。険しい顔をして、私の腕をつかむ。

「グリーン、いたいよ」
「心配したんだからな」
「うん、ごめん。おつかれさま」

掴まれていないほうの手でグリーンの頭をなでる。彼は苦い顔をして「おう」とだけ返した。腕をつかまれたまま事務室につれていかれ、向かい合わせに座る。

そして今、まるで警察の尋問のように質問を受けている最中だ。

「どうして急にいなくなっ…あー、ごめん。まず先に謝る」
「?」

質問しかけたグリーンが椅子を引いて深く頭を下げる。私が意味を図りかねていると、口を開いた。

「何も言わないままどっか行っててごめん。あとその…ずっと寂しい想いさせてごめん。甘えてた」
「そ、そんなことない!私こそごめん…」

まさか謝られるとは思わなくて、声を荒げる。

「レイジからシロガネヤマに行ったって聞いて心配になって、でも私バッチ持ってないから入れないし…全部バッチ集めて同じ立場に立ったらどこにでも探しに行けるって思ったの」

素直に出てこない言葉を必死に探しながら伝える。グリーンは真面目な顔でそれを聞いていた。

「あと、カントーじゃなくてジョウトに行ったのはグリーンがシロガネヤマに行ったのは『知り合いに会う為』って聞いて、し、し…嫉妬して」
「嫉妬?」
「シロガネヤマ、危険だから…わざわざ行くなんてそれだけ大事な人なんだって…思って、勝手に怒っちゃって。グリーンからの電話だってしばらく取るつもりなかった。もし別れようなんて言われたらどうしようって思ったら取れなかった。レッドも帰ってこないし、一人になっちゃうって…グリーンが離れて行っちゃうなんて嫌だったから…」

かつて、一人ぼっちになった時の悲しさを思い出して涙があふれてしまう。しゃっくりも止まらない、息をするのもままならない状態でなんとか言いきり、恐る恐るグリーンを見るとぼやけた視界ながらグリーンがぽかんとした表情のまま私を見つめているのがわかった。不思議に思って涙を袖で拭き視界をハッキリさせると、今度は口元を押さえている。

「ぐ、グリーン…?」
「名前、よく聞け。その知り合いって、レッドだよ」
「は?」

よく見ると手で覆われた口元は笑っている。涙が一気に引いていった。意味が全く理解できない。グリーンが続けて話す。

「シロガネヤマ付近で、レッドらしき奴の目撃情報が出たんだ。だから俺、シロガネヤマに行ってたんだよ」

言わなかったのは、ごめん。動揺して忘れてたんだ。言いにくそうに言うグリーンを見つめたまま、今度は私がぽかんとする番だった。しばらく間を開けた後、特に楽しいわけでもないのに笑いがこみあげてくる。

「はは…」
「俺、浮気してると思われてたんだな…」
「ご、ごめん…」

手遅れになる前にわかってよかった、とグリーンは疲れたように笑う。私は涙やら鼻水やらでべとべとの顔をティッシュで拭いた。

「そんな想いさせてたんだな。気付かなかった。ごめんな」
「ううん、勘違いだってわかったからいい。こっちこそごめん」
「すげー顔」
「誰のせい!」

赤くなった目と鼻のまま叫ぶとグリーンが声をあげて笑った。不意打ちのように頭を引き寄せられて、そのまま抱きしめられる。久しぶりの抱擁だ。背中に手をまわして、自分からも抱きしめる。回された腕に更に力がはいって、苦しいよと文句を言ったが更に強くなるだけだった。

「名前、大好きだから。もうどこにも行くなよ」
「…うん。でも今日はすぐジョウト帰るよ」

一瞬の間をおいて、今度は肩をガクガクと大きくゆさぶられる。

「おーまーえーなあ!」
「だだだってジョウトトのバッチ全部あつまままってないいい」
「そんなん集まってなくたっていいだろ!?」
「嫌だよ!グリーンと一緒にいろんな所行きたい!シロガネヤマだってどこだって一緒にいたい!嫉妬とか関係なしに、今はそう思うの」
「おまえ勢いあるとそんな事も言えるんだな…」

かあっとグリーンの顔が赤くなった。自分の発言を振り返って、自分の顔も熱くなる。

「バッチすぐに集めるから。シロガネヤマにいようが洞窟の中だろうが、追いかける。今度は待たないからね、絶対隣に追いつくから」
「…お前俺を山男と勘違いしてないか?ま、しょうがねーから今度は俺が待っててやるよ」

だから早く来いよと頭を撫でられる。くすぐったくて身をよじると、視界になにかが入った。よく見ようと動きを止めると、グリーンも気づいたようでそちらに目をやる。

「おおおお前らー!!」
「い、い、い、いつから見てたの!?」

扉から顔が二つでている。レイジとタクヤだ。2人はにやにやとした表情でこちらを見てすぐに顔をひっこめる。顔を真っ赤にしたグリーンが追いかけると、二人は慌てて逃げて行った。

「…ばかだなあ。皆も、私も」

(なんでチューしなかったんですか!)
(そうだそうだー)
(おまえら見てんじゃねーよ!ピジョット、おんがえし!)
(わあ怖いっていうかガチで攻撃してこないでくださいよここ室内!名前さんたすけてー!)

聞こえてくる絶叫に我慢しきれず吹き出してしまう。

もう我慢するのはやめた。
待ってるだけもやめた。
本当に好きだから追いかける、どこにいてもどこまでも。

グリーン、待っててね、すぐに追いついて見せるよ。
貴方の隣は私だけのものだから。

チルットのはいったボールを取り出すと、足取り軽く3人を追いかけた。









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おかしいなあ、甘くないなあ。
グリーンさん夢なのにレイジくんとタクヤくんがでしゃばりすぎた^q^
恋人同士のらぶらぶな雰囲気はどうやったら出せるんだろう。

グリーンのサイドン、おそらく10万ボルトなんて覚えてないです。
検証するのも億劫なので話の都合上10万ボルトを覚えてもらいました(^0^)/

うまく話がまとまらない、そんでもって色々変更部分があるので
話が繋がってないところすらあるのかも…もう何度も見直して麻痺してます。
気が付いたら直しますね…あと終わらせ方が強引なのは仕様です。ただの力不足です。

うまく流し読みしてくれたらラッキーだと思います。


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