周_01


大通り、という呼び名は、碁盤の目のように街を分割している数多の通りの、たったひとつだけに与えられた呼称だった。
晩秋の深夜は冷気で満ちている。街と同義語である摩天楼は、闇夜など昔話の住人でしかないと主張するがごとく、昼めいた空を戴いていた。壁の中のあたたかさが湯気となり、平たい夜空に昇っていく。高層ビルの先っぽから立ちのぼる湯気は真っ白で、煙突が並んでいるようにも見えた。ビルの呼吸であるかのようなそれらは、通りが閑散としていてすら、街が眠っていない証拠だ。

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