TEDDY_01


アパルトメントの窓が切り取るのは、聳え立つ高層ビルの、夜を塗り潰す明るさだった。夜空と同じ色の壁に、無数の長方形を貼りつけて、街は極彩の夢を見る。窓のくっついた立て板の群れは、その体内に人なるものを潜ませながら、夜空を白く霞ませていた。
鮮やかな夜景の上の空で、人工の明るさに星屑は沈む。
本物は眩しすぎるから、ニセモノぐらいで丁度いい。イミテーションの無邪気さや、ディスプレイの華やかさ。計算づくめの、つくりものであることを誇張された、美しさ。それら総体のネジにすらなれていないことを自覚していても、焦がれるように、恐れるように、惹かれてしまう。

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テーマ「人外ファンタジー」
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