TEDDY_01


電灯を点けていないから、室内よりも外の方が明るい。
窓ガラス越しの街はきらびやかに整然としていた。それに安堵すると同時に、突き放されたかのような断絶におののく。きらめきのひとつになりたいわけでもないのに胸を掠める寂莫は、身勝手なことこの上なく、どこからともなく去来した願望でもあった。
日付がひとつ、そろそろ進む。
街を透かすガラスに指を置くと、ひやりとした熱を指先が吸った。
窓ガラスに映るのは、玄関につながるキッチンがのぞく、ごちゃごちゃした部屋だ。部屋の真ん中に置かれているテーブルと、ベッド兼用の安物のソファ。壁際に積まれ、床に散乱する、金属や布や紙といった、統一性のない物たち。寝るためにしか自宅に戻らない男のひとり暮らしの部屋なんてこんなものだろう。もっとも、ゴミだけはきちんと処理してるけどね。
規格品の蛍火を陳列したような街は相変わらずで、散らかっていて足の踏み場もない部屋だって相変わらずだ。

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