周_01


隣人の呼び名は、テディという。本名は知らない。ただ、熊より犬っぽい雰囲気の持ち主であり、三十年以上人生を歩んできたように見えないことだけは確かだった。晩秋の夜にシャツとハーフパンツというカジュアルな装いで平然としていることは、半袖で雪合戦に興じるのと変わらないような気がする。
テディから眼をひくと、ソファの背が目に入った。背伸びをしたわけでもないが、それなりに高いところからソファを見下ろした私は、背凭れが隠しきれていない、ソファで丸まっているものを見つける。

「かどわかし?」
「違うって」

私の問いに、テディが即答した。

「助けた」

苦笑しながら、テディがソファを指さす。そこには、膝を抱えて丸まっている、十五歳くらいの少女がいた。顎のあたりで揃えられている薄茶の髪が、やわらかに散らばっている。

「助けた?」

私は大仰に目を瞠ってみせた。
珍しいこともあるものだ。ここは称賛の笑みでも贈ってやろう。

「感心、感心」
「だろ?」

ガラクタを踏みつけて道をつくり、私はテーブルにピザ箱と缶ビールを置く。

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