「あのね、友達の話なんだけどね…」

「あ、あぁ」






どうしてこうなった。

今は放課後、場所は教室、そして目の前には…俺の片想いの相手
「話したいことがあるので…」と書いてあった呼び出しの手紙に俺は心浮かれていた
ペンギンにニヤニヤしてて気持ち悪いとか言われても平気なくらい浮かれていた

なのに、彼女の口から発せられたのは友達の恋の相談
どうやら友達が好きな人に告白できなくて困ってるらしく、どう答えればいいか分からなくて俺のとこに来たらしい
た、頼られるのは嬉しい。嬉しいけどっ、期待してた自分が恥ずかしい

「はぁ…」

「しゃ、シャチくん?」

「ん?あ、ごめん!!で、その友達の好きな人ってどんな人なんだ?」

「えっ!?えっと…か、かっこよくて、面白くて…太陽みたいな明るい人…な、なんだって!」


慌てたように言う彼女にどうしたのかと思って視線を向ける
すると彼女の顔は赤く染まっていて、その事に今気付いた自分は今日初めて彼女の顔を見たんだ、と今更ながらに感じた


「顔真っ赤だぞー?」

「!?」

「大丈夫かー?…灯」

「!?!な、名前…」


慌てて真っ赤な顔を隠す彼女を心配して思わず名前を呼んでしまい、自分も恥ずかしさで顔が赤くなっていくのが分かった


「ごめん!!」

「いや、ぜ、全然いいよ!」

「そ、ういえば…シャチくんってす、好きな人いるの…?」

「まぁ…」

「そっか…」

「(好きな人が目の前にいるとは言えない)」


未だに顔の赤い二人の間で沈黙が流れていく
思わず耐えきれなくなり話を元に戻す


「さ、さっきの相談だけどな、当たって砕けてみればいいと思うぜ」

「砕けちゃうの!?」

「やってみねぇとわかんないけどな」

「だよ、ね。やってみないと
分かんないよね…がんばる」

「え?がんばる?」


その意味を深く聞こうとする前に彼女は本当にありがと、と立ち上がりまた真っ赤な顔を隠すように小走りで教室の扉に向かう
追いかけようと俺も立ち上がったとき、いきなり彼女はくるっと振り替える


「あ、のねっ…シャチくん、さっきの友達の話じゃないのっ…」

「それって、どういう…」

「私、シャチくんのことが好きなんですっ!!」


衝撃的な一言に思わず固まった、
彼女が教室から走り去ってくのに気付かなかった












(…なんで勝手に手紙渡したのっ!!もぉ…)
(お前らが鈍いのが悪い)



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