02

部屋に着き「ちょっと待っててください」と言って慌ててタオルを取りに行き彼に渡し軽く拭いてもらってそのまま風呂場へ案内する


「あの、寒いでしょうし…お風呂どうぞ」

「…いいのか?見知らぬ奴に貸して」

「えっ、と困ってたみたいですし…わ、悪い人じゃなさそうだったんで…すいません、余計なお世話でしたね…」

「いや、助かった。ありがとう」


おどおどと段々声が小さくなっていって不安がいっぱいだったが彼からのお礼で幾分か気持ちが晴れた

お礼のときに彼は帽子を取り少しだけ微笑んだ
それがとても綺麗で少し見とれてしまい彼に不思議な表情をさせてしまった


「俺の顔に何かついているか?」

「えっ、あ、いえ何でもないです!!あの、着替え用意しときますねっ…」


そういって急いで脱衣場を出て着替えを取りに行く
クローゼットを開けば捨てれずに残っている男物の服
一瞬手を迷わせたがそれを持って脱衣場へ戻る


「か、代わりの服置いときますね、」


一言残してリビングへと戻りどうすることもなくボーッとしてしまう
するといきなり携帯が鳴り出してビックリしてしまう
見ると友達の名前が表示されていて、またノートの貸し出しかなと思い、すぐ手に取った


『あ、もしもし?澪?』

「あ、うん。どうしたの?」

『さっきの雨大丈夫だったー?今日は送れなかったからさー、心配してたんだ』

「うん、一応傘持ってたから」

『そかー、なら良かったよ』

「いつもごめんね、」

『謝ることないって!じゃ、そろそろ切るねー』

「うん、ありがと」

『なんかあったら連絡しなよー!見知らぬ人に気を付けなよ!じゃっ』


心配の為に掛かってきた電話に感謝しながらもすでに忠告に背いていることに心の中で謝る
その事に気をとられていて彼が上がっていたことに気が付かなかった


「風呂ありがとな」

「ぇっ、あ、はい、すいません!!気付かなくて」

「いや、こちらこそ助けてもらって」


軽く頭を下げる彼に思わずあたふたとしてしまう
その時一番大事なことを思い出した


「あの、今更なんですけど…名前聞いても、いいですか?」

「俺の名前はペンギンだ」

「…あ、えと私は白惟澪です。は、はじめまして…」

「はじめまして…」