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今朝の天気予報通りパラパラと雨が降り始める日の暮れた帰り道
いつものようになるべく人通りの多い道を通ってマンションへと向かっていた

朝の天気予報の忠告に従って傘を持ってきてたのが正解だったようで
周りの人たちはそれぞれ小走りで屋根のある場所へ向かったり、コンビニへ傘を買いに駆け込んでいく


大通りを曲がって人通りの少ない道を少し歩けば、私のマンションだった
マンションが見えたので私もつい小走りになって駆け出した
けれどもその足が止まってしまうこととなる

マンションの前に見知らぬ人がいたのだ
しかも変わったつなぎにPENGUINと書かれた帽子を被っており、周りをキョロキョロと見渡していたので不審者のように見えた


「(あの男の人の横通らないと帰れない…)」


思わず持っている傘を強く握った
ずっと立っている訳にもいかず意を決して彼の横を通ることにした
さっきよりも早く走ってマンションへ駆け込んでゆく
その時ちらりと彼を見ると不審者のような怪しい目つきではなく、まるで迷子のように戸惑った様子だった

階段を駆け上がり部屋に入りコートやマフラーを掛けていく
ふと外を見やれば雨がさっきより酷くなっており、何故か先程の不審者もとい不思議な人のことが気になった
考え込んでいると雨足はさらに強くなってザーザーと音をたてていき、どんどん心配になっていく

仕方無い、傘を掴んで階段を急いで降りていく
マンションの前に出れば彼は変わらず立ち尽くしていた
トレードマークらしき帽子からも水が滴るほどびしょ濡れになっていた


「あのっ…良ければこの傘…使いますか?」


声をかけるとゆっくりと振り向く彼


「……いいのか?」

「はい。だって寒そうですし…」

「…ありがとう」


傘を差し出し部屋に戻ろうとすると彼がクシュンとくしゃみをし、思わず振り返ってしまう


「あ、の…部屋上がっていきますか?」

「え…」

「よ、良ければですけど行く所無いんでしたら…このままだと風邪引いちゃう…と思うんで…」


自分でも驚いた、見知らぬ人を部屋に上げるなんて
けどこの人は悪い人じゃないと何処かで感じていた


「本当に…いいのか?」

「は…はい」


こっちです、とマンションの中に入っていく私の後ろを彼は静かについてきた
何も話すことはなく彼から水が滴る音だけが響いていた














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