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目が覚めた、蝉の声が聞こえるということはまだ夢からは醒めていないようだ。まったく長い夢だな。
「にしてもあっついな、」
パタパタと服で仰いでいると階段を上がってくる音が聴こえた。そういえばこんなに耳良かったっけ?この部屋は二階の端で階段から一番遠いのに。轢かれる前も良い方だったけど、こんなには聞こえなかった。夢の中だから?
「由槻ちゃん?朝ご飯できたわよー」
「あ、今降りますっ」
「着替えてから降りてきていいわよ」
「じゃ、そうします」
今日、は学校に手続きに行くって行ってたなあ。夢が醒めるまでだから意味無いような…と思いながら懐かしい中学の制服に着替え、リビングへと降りていった。
「制服と教材は来週届くみたいだから」
「何から何まですいません」
「気にしないで、それに謝るの禁止よ」
食べたら早くに出たい、と言われすぐさま準備をしておばさんの車に乗り込んだ
これから通うらしい中学は少しだけ遠いらしい、チャリ通なんて何年ぶりかな
「ここよ、来月から由槻ちゃんが通うとこ。結構部活で有名なのよ」
校門を通るときに見えた学校名に言葉を失った
そんなわけは、ないはずなのに
車から降りた私はおばさんと職員室に向かい手続きを行った、手続きは案外すぐ終わり先生の配慮によって学校内を案内してもらうこととなった
色々とまわる途中、夏休み中にも関わらず多くの声が聴こえてくる場所があった
おばさんと先生は今やっと耳に届いたようだが、私には大分前から聴こえていた、………おそらくバスケ部であろう声が
「(やっぱり聴こえすぎてる)」
自分の聴力に対する疑問を持っているといつの間にかおばさんと先生の行き先は体育館に向かっていて慌てて後を追った
「噂通りかなりカラフルなのね、レギュラー陣」
「ええ、彼らのお陰でバスケ部の知名度はさらに上がりましたね」
赤、緑、紫、青、灰、見覚えのある人たち。水色と黄色は見当たらないが、黄色はまだ入部前なのだろう
「………………夢、じゃなかったのか」
ぼそりと呟いた言葉はバスケ部の声でかき消され誰の耳にも届かなかった
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