※不謹慎 ぱくぱく、ぱくぱく、俺の周りを囲む大人たちがなにやら難しい話をしているようだ。でも俺にはなんの話だかまったくわからない。なぜなら俺は、子どもだからな。ぱくぱく、ぱくぱく、あの真っ白な服を翻すのはよく喋る。金魚みたいだ。あはは、いや面白くはない。なんだか気に食わないな、あの白いの。やだ。やだやだやだな。白いのやだな。早く出てっちゃえ。それからその白いのが喋るのをひたすら聞いてるピンクの大人。やっぱり白いのの狭間にぱくぱくぱくぱく金魚みたい。嫌いじゃないけど好きでもない。まさに金魚。あは、うん面白くない。それからぱくぱくしない黒いの。そいつだけはただずっと俺を見てる。ぱくぱくしないし聞いてもない。あいつも子どもだからかな。わからないからかな。なにがわからないのかな。俺?おれ?おれかな、おれの話かな。うんわかんない。だっておれ子どもなんだ。あはは面白い。嘘。うそうそうそ全部うそ。あああなんだかなあ。気持ち悪いって、なにが。だれが。あいつ。あいつ?あの黒いの?ぱくぱくしないから金魚じゃないからじゃあ人間かな人間嫌いだなやだなやだな早く出てっちゃえみんなみんな出てっちゃえここはおれのへやだぞ。真っ白な、あの金魚みたいに真っ白なへや。あれここおれのへやじゃない。夢かなでも黒いのは夢じゃないなうううんどうしよう。とにかく早く出てっちゃえ。なに話してるか子どものおれにはわからないよ。幼い?だっておれ子どもなんだ。退化なんてしてないよおれ子どもなんだ今から成長するよもういいから出てっちゃえ出てっちゃえ出てっちゃえ出てけ。知らないよ知らないおれ子どもだもんようたいかってなに。 ∴金魚 |