※不謹慎 いつか俺は空を飛ぶんだ 島からの去り際、彼はそう残して出て行った。あの年にもなって、普段は大人ぶってるくせに実は子供っぽいと言うか、純粋と言うか。きっと冗談やなんかではなく本気で言っているのだろう彼を笑うことなど出来ず、じゃあ飛んだらきっとここまで来てよね、と微笑んで送り出したのだった。それを後悔するとも知らず。 彼がやってきたのは、あれから一週間もしない、よく晴れたある日の昼下がり。シュウ、と懐かしく愛しい声が聞こえた気がして、ああ僕もついにここまできたかと自嘲気味に笑う僕に、もう一度、おいシュウ聞こえないのか、とその声が降ってきた。嘘だと思う気持ちとちょっぴり信じたい気持ち、そろりと後ろを振り返る。 僕と同じものになった白竜が、今までにないくらい穏やかな微笑みを湛え立っていた。 俺、やっぱり外では生きていけなかった。性格が気に食わないと、いろいろ言われたよ。だがお前と会えたからかな、それともまあ形は違えど約束を果たせたからかな、今はなんだか穏やかな気持ちだ。 シュウ、一緒に逝こう ∴約束 |