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彼の背は見違えるほど逞しくなったと思う。年寄りくさいかもしれないが、こうして彼の成長を見守ることがなにより幸せであった。
それももう、終わりに近づいているのだろうけれど。

「俺は行く」

彼は今日、新しい道へと踏み出すのだ。彼の成長を願いながら僕の手の届く範囲にいてほしいなんて矛盾を抱える日常とも、もうお別れだ。どうしたって、いやきっと優しい彼は僕が心から引き留めれば従うのだろうけれど、それでも彼は進んでゆくのだ。僕にはやはり彼の成長を願う気持ちもあるものだから、結局僕は黙ってただ頷くしかない。ここで力ずくで引き留めるような度胸だって、僕にはないのだから。

「シュウ」
「うん」

じっと前を見据えながら、しかしその隙間には不安が覗いている。固く握り締められた彼の拳をそっと包んだ。あんなに逞しく見えた背とは裏腹に、包んだそれは限りなく少年じみている。

「…いってらっしゃい、白竜」
「…シュウ」
「うん」

待ってる。最後にそう囁いた彼の背は、そのまま一度も振り返ることなく光の彼方に消えた。


∴遠い未来に約束



ゲーム発売おめでとう!!!!!!

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