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彼は美しいひとだった。たしかに顔立ちなど絵画のごとく綺麗に収まっているし、きらきら輝く白銀の髪の毛なんて本当にこの世のものかと疑うほどだ。しかし彼にはなんとなく底知れない寂しさがあって、だから僕は彼を綺麗ではなく美しいと言ったのだ。彼はとても、美しいひとだった。その仄暗く厭世的な光を湛える赤の瞳はついに僕を見ることはなかったけれど、それでも満足だ。彼の失くしたそれが彼を美しくしているのならば、僕はそこに入るべきでない。なぜなら彼はそれでこそ完成されるのだからね。


∴失せ物と絵画

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