きっとどこにもどこへも帰れない | ナノ


ブラジャー4

 あ、と手が止まる。服を中途半端に脱がされた東雲は何が何だかわからない。黄瀬の目線の先にはパステルカラーのストライプの下着だ。
「いづろっち、オレの好み覚えててくれたんスか…!」
「…馬鹿か」






ブラジャー5

 こうやって揉んでいると、確かに大きくなったなあと思う。あの頃の東雲の胸はまな板だった。七年の重みを感じる。
「いづろっちも大人になったんスね」
「はあ?」
「そうだ、大人になった記念に黒とか赤とかドギツイ色の下着買おう!それかヒモパンとかスケスケとか!」
「馬鹿か」








「黄瀬、明日の合コンこいよ、お前が来ると女子結構乗り気で来るから」
「すんません森山先輩、彼女に怒られるんでいやっス」
「リア充死ね」
「いやあ」
「彼女可愛い?あれ、幼馴染だっけ?」
「そうっすよ、長い付き合いっスから!可愛いし、何より育てた胸が」
「お前やっぱムカつく!ちょっと彼女ちゃんの胸揉ませろ」
「ふざけないでください」






 お酒というのは、本当に危ない。
 人の色気をこれでもかと言うほど醸し出させる。忘れがちだけど現役モデル、年を重ねるごとに安定した色気が出てきた。そんな瞳で、見つめられるとこっちがどきっとする。
「いづろ」
 あの変なあだ名で呼ばずに呼び捨てなんて狡い。






 お酒というのは、本当にすごい。
 弱くはないと豪語するいづろっちだけど、顔は赤いしちょっとぽやあっとしてるのが最高に可愛い。抱きしめてキスをして、いづろっちを堪能する。いづろっちの柔らかさと、温かさがお酒でばくばくする心臓をすこしだけおさえてくれる。アルコールの味がするキスなんて、あの頃考えもしなかった。どちらのものかわからない唾液もそのままに、いづろっちの小さい口を貪る。
「りょ、涼ちゃ、涼太、まて」
 犬に命令するみたいに言ういづろっちが可笑しくて、それでも名前を呼んでくれたことが嬉しくて、口を離す。蕩けた顔のいづろっちがまた可愛くて、どうしようもなく愛しくなって抱きしめた。いづろっちは息を整えて、それから少し考えたのか間をおいてオレの頭を撫でた。
「よくできました」
 

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