ブラジャー1 「いづろっち、ブラジャーのサイズ合ってないっスよ」 はあ?と返す。この男にデリカシーはないのか。はいバンザイ、あっという間に脱がされた上着。黄瀬はちょっと失礼するっス、なんて言って肩ひもの調節から色々しはじめる。それはもう、黄瀬という男の前で下着姿を晒しているのを忘れるくらいの動作だった。 「いづろっち、下に付けすぎっすよ。あとこうやって肉を持ってくれば、ホラ」 「おお…!」 カップからはみ出しそうな嬉しい脂肪に目を輝かせたのは言うまでもない。 |
ブラジャー2 「なんで涼ちゃんそんなこと知ってんの?まさかブラジャー付けてるの?」 「スタイリストさんに聞いたっス」 「なるほど」 「でもまあ、いづろっちはパッドで盛ってないって分かったんでよかったっス。盛ってあれならオレどうしようかと」 「発展途上なの!!」 |
ブラジャー3 「それで、カップ合わないんだから新しいブラジャー買いに行くっス!」 「お前はついてこなくていいよ」 「そうだな、いづろっちはこう…明るい色っスかね!パステルカラーとか似合うっスよ」 「お前の好みとか聞いてないから」 |
涼ちゃんに、彼女ができた。クラスでも中心の、あの子。それからわたしたちは距離が開くこともなく、何事もなかったように過ごした。彼女なんていないんじゃないってくらいに、涼ちゃんはわたしにべたべただ。結構でかい涼ちゃんにじゃれつかれると、でっかい犬を連想させる。 「涼ちゃん、まて」 「わん」 命令を無視してわたしの首筋にかぶりつくこの犬には躾が必要だ。 |
彼女と言うものができた。彼女、といってもそんなに好きではない。なんとなく付き合ってみただけ。彼女がああしたいこうしたいっていうならオレの気が向いたときだけ付き合う。好きでもないのに手は繋げるし、キスもできる、セックスだってやろうと思えば出来る。付き合うってなんだろうとか思い始める。 「涼ちゃん、まて」 それでもいづろは相変わらず優しくて、応えてくれる。首筋に歯を立てるとき、確かにいづろは好きだなあって、ぼんやりと思う。 |