いつかどうしても悲しいときに | ナノ

一番近くが無理だったときは.b

 オレには幼馴染みが二人いる。両方女だが、さつきとユズルというやつ。小さい頃からそばにいて、腐れ縁もいいところだ。こいつらは揃いも揃って世話焼きで、よくオレの後ろをついてきた。バスケを始めたときもだ。さつきはちょっとやってみたりしていたが、ユズルはしなかった。身体も弱くて運動神経もそんなによくないことを自覚していた。ユズルは人よりも人に嫌われることや見捨てられることに敏感だったから、どうせ下手だから嫌われるとかそんなこと考えてたんだろう。そんなことで嫌うかよ。
 さつきの面倒も見て、オレのわがままも、常識の範囲内で許す、優しいやつだった。自分のことよりも他人を優先してしまうような、そんなやつだ。ここまで付き合ってきて、いまさら嫌いになれるかよ。
 何も変わらないのはユズルくらいだった。さつきも中学に入ってからは何か言われるようになったのか、呼び名を変えてしまった。それでも三人揃って帰宅するし、プレイしないにしろ、さつきもユズルもバスケ部のマネージャーをやっている。二人の仕事は明らかに違いがあるものの、それでも二人ともがんばっているように見える。どっちが上とか、そんなんはないし、どっちも大切な幼馴染みだ。嫌われるんじゃないかとびくびくしているユズルだが、お前のこと嫌いならさつきだってオレだってこうやって一緒に帰ったりしない。オレもさつきもユズルのことが好きだから、こうやって一緒にいるんだ。
 
20120528
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