だってだってなんだもん | ナノ

「あかね」
 名前を呼べば、あかねは少し身体を固くした。いつもより暖かいあかねの体温。うつぶせにしたあかねを、足元から眺めていく。振り返ることなく枕に顔を埋めているあかねの顔を思い浮かべるだけで興奮しそうだ。投げ出された脚を、撫でる。柔らかい太もも、喰い込むニーソックス。ぎりぎりまで引き上げたオーバーニーソックスを、丁寧に脱がしてゆく。一番皮膚が薄いんじゃないかと思う、膝の裏側。少し窪んだそこは、熱い。うっすらとついている線に沿って指を這わせると、あかねはくすぐったいのか動いた。あかねに覆いかぶさるように身体を動かし、耳元で「動いちゃダメだよ」と忠告する。悲鳴にも似た短い声をあげたあかねは、一度ゆっくりと頷いて、また枕に顔をうずめた。
 あかねから身体を離して、もう一度あかねの足元に戻る。膝裏に顔を寄せて、舌を這わせる。予想通り熱いそこを、ラインに沿って舐めあげる。びくりと反応するあかねだけど、言いつけを守ってそこまで動かない。くぼみに舌をねじ込み、太ももを揉みしだく。さきほど撫でた前側の太ももと違って、後ろ側はさらに柔らかい。できることなら、一度ここに挟まれたい。
 ベルトを外せば、金属音に反応してあかねがまたびくついた。もう熱を持って限界まで来ていたそれを、あかねの膝裏に付ける。ニーソックスをもう一度膝まで持ち上げて、ニーソックスと肌を行き来させる。あかねに無理はさせたくないと思っていたけど、無理だ。擦りつけやすいようにあかねの上に乗った。あかねの脚と脚の間に先端を付けて、上下にしごく。あかねのお尻から背中、不安そうに震える頭を眺める。
「た、たつやさん…」
 ほとんど枯れたような声で自分の名前が呼ばれた時、熱は上り詰めた。あかねの脚と脚の間に生まれた谷間に勢いよく吐き出されたそれは、粘度を持ってあかねの肌をすべってゆく。そのまま、汚れた手であかねの足をとる。持ちあげた足の指をしゃぶれば、いよいよあかねは泣きそうな声で嗚咽にも似た悲鳴をあげ始めた。それを無視して、指の間を丁寧に舐めていく。あかね、あかね。名前を呼びながら肌に吸いつくたびにあかねは可愛い悲鳴をあげた。
 すっかり熱に浮かされたあかねの足の付け根に手を伸ばす。蒸し暑く熱気を帯びたそこに、口元が緩む。手はそのままに、またあかねに密着した。
「舐められてかけられて興奮した?」
 答えないあかねの股の間に、それをねじり込む。暖かく柔らかいあかねの太ももに圧迫されたそれは自分でやるのとはまた違った気持ち良さだ。湿り気を帯び始めたあかねのそこにすりつけるように腰を動かせばあかねはとうとう枕から顔をあげた。もう母音しか紡げないあかねの可愛い悲鳴が潤滑油になる。こすりつければまたあかねが強く圧迫してくるものだから、もう限界はすぐそこまで見えていた。
「気持ちいい?」
「うっ、…んんっ」
「これ、オレだけじゃないよね?ねえ、あかね?」
「あ、ああ、あっ」
 太ももにぶちまけたままの白濁をあかねの肌に擦り込むように、撫でてやる。あかねは身を固くして息を切らせた。
「う、うんっ。辰也さんに、舐められて、かけられて、興奮したの…っあ、ああっ」
 あかねが泣きそうな声でそう告白するものだから、いよいよ我慢がきかなくなった。勢いよくピストンさせればあかねも限界が見えたのかぎゅうっとそれを締めつけた。ダメだ、と思った瞬間それを抜き取る。抜き取ったと同時にあかねのパンツから下、太ももとお尻の境界あたりに白濁がぶちまかれた。下着を濡らされた感覚に戸惑ったのか興奮したのか、一際甲高い声をあげてあかねはぐったりした。下半身の所々に斑に広がる白いそれは、いつもならどうでもよくなるものだが、あかねにかけられているというだけで別のものに見える。
「辰也さん、ずるい…」
 あかねがそんな淫靡だからいけないんだよ。そう告げるとあかねは身体を震わせた。ずるいのはどっちだ。まだ文句を言いたげな口を塞いでしまおうか。あかねの半開きで必死に酸素を取り込む口を塞いでやる。ぐっと深く口付けすれば、あかねもそれに応えてくれた。蕩け切った瞳がゆらゆらとオレを捉えている。ほんとうに、あかねはずるいな。
「うっさいぞ?」

20120928
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