プリント運び





「道宮センパイ?」



落ち着いた声が聞こえた。透き通っていて、凛としていて、澄みきった朝を思い出させる声。



「あ、…し、清水くん…!?」

「こんにちは」

「こっ!コンニチハ!!」



柔らかく笑う彼は、この学校で一番モテる男の子だ。彼はとっても綺麗な顔で、背も高くて、爽やか。気だるげな表情は、彼のことを好きじゃなくてもドキドキしてしまう。この学校の女の子はみんな、彼を裏で王子様と呼んでいる。かく言う私も。その王子様に、話しかけられるなんて…!



「プリント運びは、男の仕事だと思いますよ」



私が抱えていたプリントの束は、気づいたら全部清水くんの腕の中だった。



「わああっ!やっ、あのっ、私が日直でっ!だから!」

「姉に、女の子には優しくって言われてるんで、持たせてください」

「え、あ、う、…あ、アリガトウ」

「どういたしまして」



こんなに優しくされることは滅多にないから、恥ずかしくてしょうがない。いや嬉しいけど、清水くん本当にカッコイイなあ…って、ああ違う!私は澤村が好きなのに!

バチンと邪念を振り払うために自分の頬を両手で叩く。よし、チョット正気になれた気がする!



「……道宮センパイって、可愛いですね」

「エッ」



今の行動のどこが可愛いのか全く分からない。清水くんって、不思議な人だな……。




(道宮センパイって、小動物みたいな人だなあ…)




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結ちゃん可愛いですよね!!!


 
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