0日目




窓に明かりがついている。


「……へ?…え、ッあっ!!?」


まさか空き巣かとヒヤリとしたのも一瞬、すぐに心当たりに思いついた。重苦しい革靴を気にもせずに、子供みたいに駆け出す。今日に限って客先に出るためにリュックじゃなくてちゃんとした鞄を持ってきたのは失敗だった、走りにくい。ガザガザとコンビニ袋が揺れるのもうざったい。ああもうコンビニなんか寄らなきゃよかった!

ドアノブを引っつかむ。その勢いのままくるりと回るそれに鍵はかかってない、あの人の癖だーーー。


「降谷くん!」


靴を放る。コンビニ袋も。鞄も投げ捨てる。どれも割れ物はないのが幸いだ。コンビニで買ったゴールドなふわふわ超熟パンは潰れちゃったかもしれないけどそんなのどうでもいい。

「降谷くん!降谷くん!!」

叫びながらリビングに飛び込むと、ソファにぐだりと体を預けている褐色の肌の青年がいる。


「ッ〜〜〜!!!ふるやくんだあ…!」


ぶわわ、と涙と喜びと熱い何かが込み上げて涙腺から漏れだしてくる。ぼたぼたと落ちるそれを拭うのもどうでもよくて、彼の白いワイシャツに手を伸ばす。


「ん……ああ、おかえり___」

「ただいまあああああ」


うええと泣きながら抱き着こうとすると彼の長い腕が伸び、大きな手のひらが僕の頭を押しのけた。抱きつきたいのに触りたいのに、残念ながら僕の腕は降谷くんより短いのだ。


「うああああなんでえええええ」

「汗臭い。風呂沸かしといたから入ってこいよ。そんで飯食おう、コンビニのより美味いぞ」

「あああああん降谷くん大好きいいいいい」

「はいはい」


降谷くんはサッと立ち上がり、えぐえぐとぐずる僕の背中をお風呂まで押して歩く。半泣きのまま服を脱いでいると、タオルと着替えを持ってきてくれた降谷くんが壁にもたれながらじいっと僕を見ている。どうしたんだろう。僕の上裸なんて見ても何も面白くないと思うのだけど。


「???ぐずっ…降谷くん??」

「髪型変えたんだな、似合ってる」

「えっ!ほんと!!」

「あとなんかやつれたか?ほら、腹が薄い」

「ひあ、えっ?えっ?ふ、ふるやくん…っ」


つつつ、と降谷くんが僕の薄っぺらい腹に指を滑らす。生憎僕に腹筋なんて大層なものはないので、さぞ滑らしやすいだろう。そのままくるりとヘソを撫でて、そして更に下に…。ひええなんかエロいんですけど!
こきゅ、と小さく喉がなってしまって恥ずかしい。彼の男らしい骨張った指は僕のスラックスにかかり、片手で器用にボタンを外してチャックを下ろす。あっあーまってまって勃ちそう…!!


「ふるやく、は、はなしっんぶ!んん゛〜〜っ」


なんか脱がされるだけで勃つなんて恥ずかしいやら情けないやらなので止めようとしたのに、なんの逆効果かキスをされる。ひえ、降谷くんの唇やばいやばいやばい。


「ん…ふ、はっくく、こら、舌は入れるな」

「っはあ、だ、だって…!」

「あとこのぐらいで勃たせるな」

「うぐ、無理をおっしゃる……」


降谷くんにキスされて勃たないわけが無かった。グッとパンツごとスラックスを下ろされて、半勃ちの息子が顔を出した。あーあーもーやだー!昨日抜いておけばこんなことには…いやたぶんそれでも降谷くんの柔らかい唇とキスしたら勃ってただろうけど…!もっと、こう、なんかさあ!
とかなんとか考えてる間に降谷くんは指で僕のペニスの裏筋をなぞりながら、にんまり笑う。


「おれ以外に使ってないだろうな?」

「使っ、待ってその顔でその言い方エッチ過ぎない??録音させて??」

「おれ以外に___の熱くて硬いおちんちん使ってないよな?」

「なんでもっとエッチに言うの!?もちろん降谷くんだけです!!」


思わず大きな声で叫ぶと、降谷くんがカラカラと笑った。ここが脱衣場で良かった…。風呂場だったら大惨事だった…。それにしても降谷くんの僕をからかうのにベストを尽くす姿勢、もうちょっと控えて欲しいナー??? そう視線に込めて見上げると、彼はさっきまでの爽やかな笑顔を潜めさせて、それはもう艶っぽく口角を上げた。


「じゃあイイコな___には風呂と飯が終わったらご褒美やらなきゃな?」


ご、ご褒美…!?


「風呂速攻で入ってくる!!!!」

「100数えてから出ろよ」

「ああああ降谷くん大好き!!!!」

「はいはい」



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