WT尊? ぼでぃーがーど



唯我尊のボディーガード


「___にいさぁんっ!まってえ!まってよぉお!うわああん!」
「尊なにないてんだ、ほらこいよ」
「ううっ…ぐすっ…うええ…っ」
「おれはどこにもいかないから、な?」


うそつき。

置いていったくせに。勝手に遠くに行ったくせに。先に手を離したのは___兄さんじゃないか。




主人公は唯我より2歳上の高3。
武術全般から逮捕術捕手術までお手の物。幼い頃からみっちり鍛えられたためほぼ筋肉。着痩せするタイプ。

幼少期は兄弟みたいに仲良かったのに、中学生くらいに唯我パパのボディーガードである主人公父に「付き従う相手には敬意を払え」と言われ、渋々取ってつけたような「尊様」呼びと敬語を現在まで継続中。心中は「手のかかる弟だな〜死なねえように守ってやんないと」という感じで依然変わらないけど小学生の尊くんは傷つきました!裏切られた感すごいよ!おこだよ!

それならボクだって、と思って「___」呼びに。けれど特にダメージ与えれてないし、「ハンコウキか…尊ももうそんな年なんだな」とほのぼのされちゃう。

主人公は昔から「尊の兄貴だから守ってやろう」と今までずっと兄貴気分。尊くんは「優しくて守ってくれるお兄ちゃん」から「仕事だから仕方なく守ってくれる他人」になったみたいで悲しい。しかも伝わらない。



「唯我あぁぁ!」
「尊様、」

なにぼーっとしてるんだこいつは。尊を背に庇って、出水の飛び蹴りの体制の足を掴んで回し投げる。バァン!というかビタァン!というか、まあそんな感じの音を立てながら出水は壁にぶつかった。

「いっ出水先輩!?___!出水先輩が!」
「落ち着いて下さい。出水はトリオン体です」
「トリオン体じゃなかったら死んでるっつーの!___さんのバーカ!」

起き上がりながら半目で俺を睨む出水。バーカって…小学生かよこいつ。

「尊様に飛び蹴りしようとするからだろ」
「この前は許可したくせに!」
「あれは尊様が悪かったからな。俺は体罰できねえから利用した」
「あのときは目にゴミが入ったんじゃなかったのかい!?」
「目にゴミ入ったくらいで警護出来ない奴なんて無能ですよ尊様」

それにしてもあのときはミクモくんには悪いことをした。カラスマくんへの悪口もな…どうしたものか。蝶よ花よと育てたからか、高飛車なところが矯正しきれなかったんだよなあ。まあ上流社会じゃ尊は可愛い方だ。裏表のない素直なやつになってくれてお兄ちゃんは嬉しいぜ。

つーか、うるせえ。
ひどいひどい!とギャンギャン騒ぐ二人に指の関節をわざとらしく鳴らすと、慌てて作戦室に飛んでった。今日も平和だ。

(あのとき…尊くんが修を「B級を個人的に相手にするほどヒマじゃないんだよ」通せんぼしたとき)


▼大規模侵攻時
「尊様は、自宅待機、ですよ」

ビクリとイタズラが見つかったガキみたいに震え上がる尊。その細っこい手が掴んでいるのは窓枠である。こいつヘタレのくせに蛮勇だけはあるんだよなあ。勇気なんかじゃない、蛮勇だ。相変わらず手が掛かる弟である。

「…テーブルについてください。飲み物を持ってこさせます」
「ッ、ボクはA級1位なんだよ。三門市民を守る義務があるはずだ!」

その足は震えているくせに。

ボーダーに入りたいと尊が駄々を捏ねていると知って、猛反対したのは俺だった。当たり前だろう。あんな重戦車だって敵わないトリオン兵に、弱っちい尊を立ち向かわせるなんて夢でも見たくない。だというのに本人は七光りを最大限に発揮しやがってあっさりボーダーに入隊した。旦那様の親バカは早急に医者に見せるべきだ。

七光りを使えばA級1位にすら入ることが出来る立場なんだ。わざわざ危険なところに飛び込んでいく必要などない。それなのに、尊は。

「ボク、___兄さんみたいなヒーローになりたい」

小学生の尊に言われた一言だけで、俺はどんなヒーローにだってなってやれるのに。お前はずっと、俺に守られてればいいんだ。


「いざというとき、尊様が旦那様をお守りするのでしょう」
「………」

体のいい厄介払いだ。尊は無知だが、愚かではない。自分がボーダーにとって死なれては困る人間で、かつ死ぬ可能性がある弱い人間だから自宅待機になっていることくらい分かっている。悔しそうに歯噛みする尊に手を差し出す。

「ーーー怖いんです。尊様が、安心させてくれませんか」
「、___…仕方ない。A級1位である!このボクが!手を握ってあげよう!」

小さくて柔らかい二つの手が、俺の手を握り込む。祈るように見えたそれに、俺もそっと祈った。早く、早く終わってくれ。そうすれば尊もきっと、笑ってくれるだろうから。


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