アイドル主と二宮隊 「つーじせーんぱいっ!」 「ッ!!」 廊下を曲がって見えたアシンメトリー頭に飛びつく…もとい、抱きつこうとしたが、素早い身のこなして避けられてしまった。流石、B級1位は伊達じゃないなぁ。 「どうして逃げるんですかぁ?辻先輩と仲良くなりたいだけなのに…っ」 「!!!……っ、っ!、!!」 うるうると全力で可愛い顔を作って見上げると、辻先輩は全力で狼狽えた。相変わらず面白いなこの人。顔を真っ赤にして視線を泳がせながら身振り手振りで慌てたあと、二宮さんの後ろにサッと隠れてしまった。 「に、二宮さん…!」 「俺を壁にするな」 とかなんとか言いながらも二宮さんは辻先輩を追っ払ったりしないんだから、相変わらず二宮隊は仲良しだ。二宮さんに近づいてポケットから手を出させてそのまま握る。あったかいカイロである。 「二宮さんっ、お久しぶりですう!」 「ああ、久しぶりだな」 「俺もいるよー?」 「犬飼先輩はこの前も会ったじゃないですかぁ」 男の姿のときに。 心の中でそう続けてアイドルっぽくキャハッと笑う。なんせ辻先輩は勿論、二宮さんも俺が男だと気づいていないのだ。面白いけど、二宮さんにバレたらどうなってしまうのか予想が付かないのでとっても怖い。絶対バレないようにしないと…。ていうか辻先輩はまだしも二宮さん大丈夫?いつか詐欺にあってしまわないか心配だ。 視線を感じてそちらを見ると、微笑ましそうに笑ってる可愛らしい女の子。い、癒される…! 「氷見ちゃんも久しぶりですぅっ 相変わらず髪サラサラ!美人〜っ!」 「照れるけど…ありがとう」 ふふ、と照れ笑いしてる氷見ちゃんマジ天使。オペレーターって本当に画期的だ。男ばかりのムサイ隊に咲く一輪の花…。加古隊と那須隊は花束です最高! この間、二宮さんの影に隠れている辻先輩は全く動きなし。女装を活用して女の子にセクハラかまそうとしてる俺とは大違いのウブさだ。 名残惜しいけど人間カイロから手を離して、その後ろを覗き込む。ピャッと辻先輩が飛び上がって、自分より小さい犬飼先輩の後ろに逃げ込もうとする。逃がさないぞ! 「辻先輩!私より犬飼先輩の方が良いんですかっ?」 「っ!!!?」 がばっと抱き着くと、そのまま辻先輩が後ろに倒れそうになる。犬飼先輩が何とか支えてくれたけど、これは、 「やり過ぎだ、___」 「…私もそう思いますぅ」 to list |