あいどる主 ミニスカートにポンチョ。ふたつとも可愛らしい真っ赤な生地に白いふわふわがところどころついていて、ポンチョには鮮やかな緑色のリボンがついている。同じく赤い帽子を被れば出来上がり… 「ってふざけんな!何だこれ!!」 「サンタクロースでしょ」 「サンタクロースはミニスカ履いてねぇだろ迅さん???」 「似合ってりゃ何でも良いんじゃない?」 完全に他人事な迅さんの腹に結構本気のパンチしようとするも避けられた。くそ、余裕そうにボリボリぼんち揚を貪りやがって…! 「そんなにカッカしないでほらほら〜!せっかくのクリスマスだよ!___くんもサービスサービス!」 「宇佐美ちゃん…本部から逃げ仰せたと思ったら玉狛でコレだぞ、裏切りには裏切りで応える…!」 夕方全く予定のない(というか本部から全力で逃げたから気軽に外に出掛けれない)おれはゴロゴロしていた。そこに小南ちゃんと宇佐美ちゃんがいきなり突撃してきたのだ。 ここまでは良かった。クリスマスイブに両手に花!おれへのプレゼントか!と喜んだのはおれだ。 「私の部屋にトリオン兵が来たわ!倒しに来なさい!」 これが小南ちゃんの第一声だった。どう考えても嘘だ。けど暇だったし、可愛かったのでのこのこついて行ってしまい、結果こんなことに…。 「こんなことなら小南ちゃんのバレバレの嘘について行かなかったのに…!」 「ば、バレてたの!?」 「うう…小南ちゃんバカワイイ…」 「ちょっと___!今バカって言った!?」 ポカポカ殴られつつスースーする足を庇う。寒すぎ。これだから女物はクソだ。 「ふむ、なかなか似合ってるぞ___センパイ」 「あ?空閑も似合いそうだな???ミニスカ履くか」 「いえいえおれはエンリョします。チカは着ないのか?」 「えっ、わ、わたしはいいよ。修くんは?」 「ええっ!?僕!?」 流石に雨取ちゃんに着せようとすると犯罪になるからな…ここは三雲で我慢するか。おれが笑えないくらい似合ってしまってるので、三雲はお笑い要員だ。お前も犠牲になろうぜ! 「よし、三雲来い。」 「えっ、ちょっ、か、烏丸先輩!」 「………」 「!!」 フイ、とわざとらしいくらいアホとりまるは顔を逸らした。それに見捨てられた!とショックを受けている三雲を引き摺る。 「___、冗談はそのくらいにしてやれ」 呆れたような木崎さんの声に振り返って睨めつける。 「そのセリフ、おれがこんな目に合う前に言ったら良かったのにな」 「………」 木崎さんがすっとアホとりまると同じ方向に目線を逸らす。これだから落ち着いた筋肉は。三雲を再び引き摺り始めたところでバアン!とドアが大きな音を立てた。 「ただいまもどったぞみなのものー!」 「おー、陽太郎おかえり」 「む!?たいへんだ!___がさんたくろーすになっている!」 「残念だったなお前はいい子じゃねーからサンタクロースは来ねーよ」 「なにぃ!?」 「コラコラ。陽太郎苛めんなよ」 匠さんがのっそり現れた。片手にはホールケーキが入っているであろう大きな箱を持っている。 「なかなか似合ってるじゃねぇか」 「………」 グリグリと頭を撫でられる。似合ってるという言葉に複雑になりつつも、まあ褒められるのは悪くない。 「俺の見立て通りだな」 ニッと笑った匠さんにビシリと固まる。 「匠さんが元凶か!!」 「はっはっは!ほらさっさと席につけー飯だ飯!」 「ちょっと匠さん!」 怒ったフリをしながらその広い背中を追う。まあ匠さんがおれに着させたいって言うならやぶさかでもないというかなんというか。とりあえずおれはいつの間にか逃げていた三雲をしばいた。 to list |