セクシャルハラスメント



(男性オペレーター主)


セクシャルハラスメント。略称セクハラ。職場・学校などで(法的な取決めがあるのは職場のみ)、「相手の意思に反して不快や不安な状態に追いこむ性的なことばや行為」を指す。つまり男性が女性の臀部を触るなんて所業、セクハラ以外の何物でもない。そう、働く女性たちは怒っている。その代表として男の僕が選ばれたのはよく分からないが、沢村さんに言われては仕方ない。

ぼんち揚の袋を持ってプラプラと歩いている目標を発見。彼のサイドエフェクトを考慮した結果、僕は15分前に沢村さんからこの命令を受けた。そのため彼は未来を視逃して本部でこんなにも無防備に歩いているのだろう。女性を敵に回すと本当に恐ろしいのである。


「迅さん」

「お、___久しぶりだなー。ぼんち揚食う?」

「いえ、大丈夫です。今日はお話がありまして」

「話?……え、ちょ、っと待ってくれそれはナシだろ!」

「ああサイドエフェクトを使われたのですね。ですが決定は覆りません」


顔を青ざめさせて後ずさる迅さんを追い詰める。彼の背中が壁にぶつかった。これではやりにくい。


「貴方からセクハラを受けた被害者女性たちは怒っています。目には目を、歯には歯を、セクハラにはセクハラを。ハンムラビ法典です。さあ腰を浮かせてもらえますか」

「っ、ぜったいヤダ」

「では実力行使です」

「え、?」


左手で彼の胸元を掴んで引き寄せる。自然と壁と距離が生まれた彼の臀部に右手を当てて、がしりと揉んだ。「ひっ!?」ドンッと突き飛ばされて、二、三歩後ろに下がった僕が見たのは真っ赤な顔で床にへたりこんでいる迅さんだった。


「…あの、迅さん」

「まってまってもうなにもいわないで」

「顔がとても赤いですよ」

「いうなってば!!」


いつもの飄々としてる彼の怒号なんて聞いたのは初めてじゃないだろうか。そう内心驚きながら、僕は彼との距離をじりじり詰めていく。手負いの野良猫みたいに威嚇してくる迅さんはやっぱりいつもとは違う。何だろうこの気持ちは。ザワザワと心が揺れる。こんなの初めてだ。しゃがみ込んで濡れた目に視線を合わせて一言。


「セクハラしたくなる気持ち、分かった気がします」


彼の瞳の水色に映った僕の目は、笑っていない。





「好きな子にセクハラされる気持ちはどうかしら迅くん?」

モニターで2人の様子を眺めていた沢村響子はほくそ笑んだ。女性を敵に回すと本当に、恐ろしい。


(ぼんち揚途中で消えました)

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