old竜太郎 あこがれはひとをもころす



こねた あこがれのひと続き
(まひる死亡)


知っていました。分かっていました。それでも好きになったんです。愛してしまったんです。自分ではどうしようもないんです。


「だからごめんなさい。まひるさん」

「え?」


優しいあたたかい茶色の瞳。それを縁どる長いまつ毛。小さい鼻に、桜のような唇。ふわふわの柔らかい髪。ごめんね、ごめんなさい。貴女は何も悪くないのだけど、僕のために死んでください。さあほら内斗博士、さっさと彼女を突き落としてください。そして僕がトドメをーーー。





「女子高校生が飛び降り…、打ち所が悪くて死亡かあ。辛気臭ぇニュースだな」

「本当ですよね、まだお若いのに…。噂では内斗博士のご兄妹だとか」

「!そりゃまた…」

「___、」

「竜さん、どうかしました?」

「トレーニング付き合え」

「今行きます。それじゃあ黒須さん、また」

「スミマセン黒須さん、こいつ借ります」

「おう、頑張れよ」



目の前を揺れる金髪にそっと微笑む。これで彼は彼女のものではなくなった。それどころか彼は彼女を知りさえしないのだ。僕の名前を呼んで、僕の顔を見て、僕と一緒に居てくれる。

こんなことが許されるはずないと、知っていました。分かっていました。いつか罰が下されるその日まで、僕はただの罪人でしかないけれど。


「竜さん」

「なんだ?」

「僕、竜さんのこと好きですよ」


罰はきっともうすぐそこ。







「りゅう、さん、」
「喋るな。OLDを打てばまだ、」
「あは、は、いいん、です。これは、ばつ、だから」
「喋るな…!」
「あいして、います。りゅうたろう、さん」
「っ!___ーーー」


彼に殺されるなんて許されない、これは罰なのだから。さあ自分で自分に極刑を。


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