opサンジ しにんにくちなし




◎恋愛要素なし

たとえば、たとえばの話です。サンジがバラティエを出ていかなければ、海賊にならなければ、きっと彼らは、…彼は。

サンジには好きな人がいました。男です。恋愛感情ではもちろんありません。彼は結婚していて、よくひとりで、たまに奥さんと食べに来ていました。やさぐれていたサンジを構い、褒め、叱ってくれる人でした。

バラティエを出るとき、その男は黒のエプロンをプレゼントしてくれました。

「美味しい料理を作りなさい」

包丁を握るたびに思い出すその言葉は彼がくれたもの。風の知らせというもので、その夫婦が罪を着せられ殺されたと聞きました。嫌な世の中だ。サンジはそっと煙を吐き出しました。

その夫婦の死が自分によるものだと、サンジはしっています。自分を炙り出すための、死。だからこそ、サンジは美味しい料理を作らなければなりません。世界一美味しいオールブルーを、見つけ、なくては。

「食わせて、やりたかったなあ」

死人に口なし。なんてな。


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