ぼくには兄弟はいないけど、イトコがいます。こわい顔のくせになよなよしてて、めめしいです。でも、ほんとは強くて、なよなよしてんのもめめしいのも、ほんとはやさしいだけだって、ぼくは知ってます。だから、ぼくは旭兄が大好きです。 オレが小学生の時に書いた作文である。両親に褒められて調子に乗ってそのまま旭にあげたのだ。旭はあんな紙切れなんかに大喜びして、高三になった今も大事に大事に持っている。正直恥ずかしい。本当に___は旭くんのこと昔っから大好きよねぇ、なんて母さん達に未だにからかわれるし。まあ大好きだけど、あの頃とは違う好きだっつの。まさか旭とこんな関係になるなんて、ガキのときは夢にも思ってなかったけど。 「はあ、昔はこんなに可愛かったのになぁ…」 「いつまでんなもん持ってんだよキモチワリーな」 「き、気持ち悪いって」 ショックでか目にうっすらと涙を溜めながらその作文を持ってる旭は、どっからどーみても強面だ。なのに惚れた弱みかこれが可愛く見えてしまうんだからオレは末期だ。まあ、欲を言えばもっと泣かしたいけど。じっと見つめていると、旭が不思議そうに首を傾げた。 「どうした?腹でも減ったか?」 「違ぇよ」 「えーっと、じゃあ腹痛いとか?」 「ちっげぇよ!なんでオレがお前ガン見してたら腹になんか支障きたしてんだよアホか!」 「う、ご、ゴメン…。じゃあどうしたんだ?」 辛辣に当たっても、旭はバカ真面目に真正面から向き合ってくれるから好きだ。動くなよ、と言ってから旭の両手首を右手で掴んで、左手で顔を固定させる。ここまでしてようやく何をしようとしてるのか分かったらしい旭は、少し肌を赤らめて視線を泳がせた。くそ、可愛いな。 「___、その、チョット、ま、待って、んむっ!、ふ… 、ぁ、 は、ぅ、 」 「んっ、ちゅ、………なあ、旭兄」 「!」 この呼び方をされると旭が断れないのはよく知っている。にんまり口角が上げながら、旭のもう既に真っ赤な耳に口を寄せる。わざと熱っぽい息を吹きかけて、甘噛みする。 「ひっ、 ぅぁ、___…!」 「さっき旭兄を見てたのは、…もっと泣かしてぇなって思ったからだよ」 低く囁くように言ってやると、急に旭がガクッと崩れ落ちた。慌てて支えながらオレもしゃがみ、俯く旭の顔をのぞき込む。 「旭?」 「っ、どう、しよ、」 「は?何が?」 「…その、さっきので、」 「腰、抜けちゃった…ハハ……」 「……………」 「…___?も、もしかして呆れた?で、でもおれも抜けたくて抜けたワケじゃ…、んうっ!?」 必死に弁解しようとする旭に口づけて、床に押し倒す。あーもう何なのこいつ。何が腰抜けちゃっただ、くそ、ムラっとしたオレは悪くない。全部旭のせいだ。全部旭が悪いんだからな。 「っふは、…はっ、…___っ?」 「バカ旭。責任とれよ」 「へ?何の…、っ!!」 ぐり、とオレのを旭に押しつけると察したのか、顔を真っ赤にして黙り込んだ。くそ、可愛いな。旭のTシャツを脱がそうと手を掛けようとしたとき、旭の小さな声が聞こえた。 「お、おれで良ければ…」 ああ、これは、気絶しても離してやれないな。 to list |