いつもあの人はチョコレートフレーバーだ。 「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」 「、えっと、チョコレートひとつ。…おい、青子は?」 「うーどうしよう…。マンゴーも美味しそうだしライチも気になるし…」 「どっちかにしろよ。また太んぞ」 「うるさいわよバカイト!」 可愛らしい女の子から繰り出されたパンチは残念ながら空を切った。 この2人最近よく来るけど、男の方は本当にチョコレートフレーバーしか食べてない。よっぽど好きなのか、なにか信念とかなんかあんのかな。つーか、普通彼女が二種類で迷ってたらチョコレートやめてその二種類買って半分こはあと、とかするんじゃねぇのか?いや、彼女なんていたことないから知らねぇけど。はあ、俺アイスクリーム好きだからこのバイト天職だと思ってたけど、意外とカップル多くて辛い。リア充爆発しろください。 「さっさと決めちまえよアホ子。どうせまた来るんだからよ」 「なによ!誰が付き合ってあげてると思ってんのよ!」 「ばっ、静かにしろ!」 焦って女の子の口を塞いだ男の方と目が合う。おー綺麗な青色。にへら、と愛想笑いをした男にとりあえずこちらも愛想笑いを返す。って顔赤いな。そんなに恥ずかしいならこんなとこで騒がず仲むつまじくお家デートでもしてろよくそが。 「んんん゛ー!」 「あの、彼女さん苦しそうですよ」 「え゛っ!コイツ彼女じゃないです!」 「えっ、ああ、そうなん、ですか?」 いや、どうでもいいから手離してあげて。すっげぇ苦しそう。 「…あの人に絶対変な奴だと思われた…アホ子のせいで…」 「青子のせいにしないでよね!もう付き合ってやんないわよ!?」 「うぐ、それは…」 「いいの?一人であの店員さんと緊張せずに話せる自信あるの?」 「……アホ子のくせに…!」 「青子に感謝してよね!」 結局青子が選んだのはストロベリーで、甘酸っぱい!と美味しそうに堪能している。くそ、それおれの奢りだろーが。 キャッキャッとはしゃいでいるアホ子を横目で見つつ、大好物のチョコレートアイスクリームを頬張る。ここのは甘いのにほろ苦さがあって、なんだか癖になる味だ。…まるであの店員さんみたいだな、なんて考えてなんかない。 to list |