opドフラミンゴ にせもの




ドフラミンゴにはむかし、大切な大切なひとがいました。それが恋だと、愛だと彼はどこかで知っていましたが、照れ隠しに彼をからかってばかり。ある日彼はいなくなってしまいました。こどものドフラミンゴは知りませんでしたが、人攫いに遭ったのだそうです。おとなになったドフラミンゴは彼を探してます。

おとなになったドフラミンゴに彼を見つけ出すことは簡単でした。ただ、彼は奴隷になっていました。ゆるせません。彼はドフラミンゴのものです。彼の偽物の主人は微笑みます。
「あらァ?もしかして王様ってばわたくしの奴隷が欲しいのかしらァ?うふふザァ〜ンネ〜ン、これはわたくしのものよォ」

こ ろ す

無事彼はドフラミンゴのものに戻りました。偽物の主人?ああ彼女ならとっくにいなくなってます。肉体も、存在も。彼はドフラミンゴに甘く笑いかけます。

「好きだ、愛してる」

ドフラミンゴは幸せです。初恋がようやっと叶ったのです。もちろん嬉しいでしょう。それがたとえ、偽物でも。

「ああ、ドフラミンゴ。君の髪はあの人の輝く金色の髪によく似ていてとても素敵だし、恥ずかしがり屋でサングラスを手放せないのも同じだね、可愛いよ。そのピンクの派手なファーもそう、あの人もピンクが大好きで同じようなものを愛用していた。本当に君はあの人に似ている、あいしてるよ」

彼は偽物の主人が好きでした。偽物の主人は彼をモノとしてしか見てくれませんでした。偽物の主人は死にました。殺した張本人の幼なじみは僕を好きだといいます。僕を愛してくれています。そういえば、幼なじみは彼女に似ています。可愛いなあ。素敵。その、傲慢なところが彼女にそっくりで、ぼく、は、

ドフラミンゴは今日も笑います。ドフラミンゴの傍で彼が愛を囁いてくれているからです。その愛は歪で罅割れた不良品でしたが、この世でたった一つしか存在しませんもの。ドフラミンゴは満足です。彼は今自分を愛しているのですから。そして、彼もまた満足です。与えられる愛は彼にとってとても素晴らしいもののように思います。ふたりは、しあわせ、です。


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