自分に自身が持てないときは、甘いものを食べなさい。そう微笑みながらチョコレートを差し出してきたあの人を、おれは。甘いものは好きだけどすぐ気持ち悪くなっちゃう系ドレーク夢 海軍に疑問を抱くドレークの脳裏に浮かぶのは微笑むあの人が処刑されるところだった。きっと、彼は無実だった。ひとつの島の住人全員を一晩で虐殺したなんて、それにしては彼はあまりに綺麗な目をしていたじゃないか。 「疑わしきは罰せ。私は、私が死ぬことで皆が安心して暮らせるなら、それでいいよ」 ドレークはチョコレートをひとかけら口に持っていく。彼がどうしてあんなにも甘い人間なのかようやく理解する。きっと、チョコレートで出来てるからだ。 人を殺しました。ーーー理由はありません。島一つ分殺してしまいました。ーーー理由はありません。なんとなく、興味でつい。自分に、甘いもので。 そう笑う彼の人の目はガラス玉のようにキラキラ綺麗で、執行官は言い知れぬ恐怖に突き落とされた。震える手を押さえつける。早く、早く殺さなければ。 最後に、彼を殺してみたかったな。 その顔がどんな表情を浮かべるのか興味がある。ああ、でもーーー。 (さよなら、ドレーク) 私は無実だと信じてやまない彼の、己の無力さと絶望を噛み締めている顔は、なかなかいいものだ。 to list |