opサッチ あいはどこにもいかない




嫌いなものは 一生嫌いじゃないですか。避けようとするから、好きになるチャンスが来ません。でも好きなものには自分から近づくから嫌いになる可能性が高くなるでしょう。

だったら好きなままで離れたら、?

僕は君から離れます。どうか嫌いにならないでください。


嫌われるのが怖い主人公と近くにいたいサッチ。


「___!」
「…はい、」
「一緒に島まわらねェか!?」
「……すみません、買い出しで」
「じゃあおれも」
「隊長にそんなことさせられません。失礼します」
「あっおい!」

___がフラリと船から飛び降りるのを見て、サッチは盛大な舌打ちをした。

「次は逃がさねぇぞ___…」

海賊らしい悪どい顔で。

___は14のときこの船に乗った。サッチにべったりで___を探すならサッチを探せと言われた程だ。ある日、そう、ある日のことだ。朝起きてキッチンに行っても出待ちの___の姿はなく、その後も他人行儀な挨拶しか交わさなかった。そういう日もあるだろうとほっといて今に至るのである。

そのある日の一週間前。___は大好きなりんごを食べた。病んでいたらしく、気持ち悪くなって吐いた。大好きなりんごのソテーもお気に入りのアップルパイも食べられなくなった。トラウマである。好きなものほど嫌いになるチャンスが増える。___はそっとサッチから離れた。

買い出しから帰ってきた___はやつれていた。本人は気付いていないようだが首元にべったりと下品な口紅がついている。それを見たサッチが___の胸ぐらを掴むは当然だった。

「いい加減にしろよ___、大好きなおれは避けて女とはヤんのか」
「!?別にヤってないしアンタのことも好きじゃない!」
「嘘つきめ」

かぶりつくようなキスをする。___は目を見開く。キスは、あの大好きで大っ嫌いな、りんごの味だ。

「うまいか、りんご」
「…うまい」
「おれの事好きか」
「……す、き」
「女とはヤってねェだろうな?」
「…女じゃなくてオカマだったから殴ってきた」
「」

通りで下品な口紅だと感じた訳だ。

(結論、好きなまま離れたら好きが募る)

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