工藤くんと犯人によく間違えられる主人公 「…という訳です。よって、___は犯人ではありません」 もう何十回このフレーズを言ったことか。視線を___に向けると、にこにこ笑っていた。とても逮捕されそうになってた奴とは思えない。溜め息を吐きたくなるのをぐっと堪えて、真犯人を追い詰めるべく、推理を再開した。 「いやあ、今日も助かったぜ工藤くん!」 「オメーなあ…」 相変わらずにこにこ笑ってる___に、溜めに溜めていた息を吐き出した。幸せが逃げるぞ、なんて、犯人に間違えられまくってる奴に言われたかねーよ。 「なんでこうも毎回毎回犯人に間違えられてんだよ」 「さあ?俺だって好きで間違えられてんじゃないからなあ」 ___は第一発見者になることが多く、しかも大体の被害者は___と接触したあとで事件に巻き込まれている。不自然過ぎるのだ。警察が疑っちまうのだって分かる。オレがいなければとっくに彼は豚箱の中だっただろう。運のないやつだな、と呆れながら言うと、___は不思議そうな顔をした。 「本当に俺に運がないなら、工藤くんと出会ってないと思う」 俺と出会ってくれて、ありがとう。 そう笑った顔はいつものそれとどこか違うような気がする。あれ?なんだ、なんか、動悸が。黙ってしまったオレに工藤くん?と呼び掛ける___。とりあえず、ホストみてーなこと言ってんじゃねーよ。と蹴っといた。頬が熱い理由は、今はまだ分からなくていい。 to list |