WT慶 しあわせにしたいのです



没ネタ。男主きもちわるい。


うーん、あの子は可愛いけれど身持ちが良くない。こっちの子は天然が行き過ぎてるから却下。この子は化粧落とした顔とのギャップが酷過ぎる。赤ペンで名前の上に線を引いていく。街歩いてたら良さそうな子なんて掃いて捨てるほどいるのに、ちょっと調べたらこれだ。叩けば叩くほど埃が出る。全く女って怖い。


「___ー」

「太刀川?何でここにいるんだ?」

「何でって…次、ここだろ?」

「あー、バカ。授業変更の時間割り送ってやっただろ?太刀川は……ほら、次、第五講義室だよ」


ファイルを鞄に戻し、自分用にプリントアウトしていた時間割りを見せてやる。ついでに太刀川がとってる授業に赤ペンで丸をして渡す。またコピーすればいいしな。「マジか。サンキュー」太刀川はそう言っておれの隣に腰を下ろした。何してんだ。


「太刀川くん?君は第五講義室ですが?」

「___と同じ授業だと思ったから出てきたのに、別ならここで寝る。良いだろ?」


机にうつ伏せて上目にチラリとおれを見る太刀川から慌てて顔を反らす。相変わらずこいつの何と言うか、色気みたいなものは目に毒だ。落ち着く為にため息を一つ吐いて時計を見る。もう移動時間ないし、次の先生緩いし、まあいいよな。ただ太刀川の単位だけが心配だけど。


「太刀川、出席率大丈夫なんだろうな?」

「んー…、多分なんとかなってるはず」

「…まあ、なら良いか。疲れてんだろ?おやすみ」


太刀川の微妙な猫っ毛を撫でると、まさに猫みたいに目を細めて気持ち良さそうにしている。喉でも鳴りそうなくらいだ。その姿に笑いそうになりながら、おれは頭の隅でひっそり思う。

太刀川に相応しい女の子はまだ見つからないけど、きっとおれが見つけて、くっつけて、結婚させて、太刀川をこれ以上ないってくらい幸せにしてやるんだ。そうだな、太刀川には控えめで可愛らしい大和撫子が似合うよ。でも可愛いだけの人じゃなくて、太刀川がドジを踏んで転んでも、一緒に立ち上がってくれるような強かさを持った人。なあ太刀川、おれは太刀川が幸せなら幸せなんだ。けど、おれが太刀川を幸せにできたなら、おれはもっと幸せになれる。例えそれが、直接的でなくても。

ガタリ、
…あ、あの子可愛い。斜め前に座った女の子に目を奪われる。出席を取るときに彼女が返事をした名前をノートの端にメモした。代返じゃなければいいけど、さて、また忙しくなるな。

好きだよ太刀川。
太刀川は、おれが幸せにするから。



そのノートの端を見つめる太刀川の目がどんなものだったか、なんて、知るよしもないことだ。


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