カカシさんはとても遠い。たった一年しか生きている時間は変わらないというのに、彼との差は底が知れない。寧ろその差を知ろうと近づけば近づくほど、その底は深く深く、見えなくなっていく。けれど近づかずにはいられないのだから、本当に、どうしようもない。 「カカシさん」 「んー?どうし…っと、___?」 少し目を丸くしたカカシさんを腕の中に引っ張りこんで掻き抱く。緩く抱き返してくるその手が愛しくて、泣きたくなる。こんなに近いのに、近いはずなのに。手に入れたと思ったらすり抜けていくそれを、虚しさと言わず何と言うんだろう。 彼に擦り寄って甘言を紡いでいると、くつくつと喉で笑う音が聞こえた。 「ホントにどうしたの、今日のお前はやけに甘えただね」 ま、嬉しいけど。と続ける彼に結局絆されて、この関係は惰性的に続くのだ。本当はどうでもいいんだ。近かろうと遠かろうとどうでもいい。彼が大人しく抱き締められているのが、私だけならそれで。 to list |