WT勇 ねこをかいたい




当真と猫を飼いたい男


付き合ってた彼女に二股→フラれる→彼女が嫌いだった猫を飼いたい→ペットショップは店員にゴリゴリこられるの怖いから野良探す→野良猫とじゃれる当真発見。



リーゼントなんて初めて見た。あからさまに不良ですとアピールしてる青年の第一印象はそれだった。制服だから高校生だな。今時の不良ってもっとこう、ドレッドとか剃り込みのイメージだったのに。何だか肩透かしを食わされた気分だ。っていうか不良が猫と戯れるって。これなんて少女漫画。


「いって!お前また引っ掻きやがったな〜」


そんなやつはこうだ!

ああ、ただの猫好きだ。彼は猫の腹をマッサージし始めて、正直僕は戸惑うしかなかった。やっと猫を見つけたし、連れて帰りたいんだけどなあ。というかもしかして野良じゃなくてこの子の猫とか?

不良が怖くないわけじゃないけれど、少なくとも猫をわっしゃわっしゃ撫でてる彼に殴られる心配はしなくていいだろう。多分。


「あのー」

「あん?なんか用か?」


気だるげなくせに鋭いその目はとても年下には見えない。っていうか身体も僕より二、三回り大きい。ダブり疑惑が出てきたが、それは一旦しまって彼に擦り寄っている猫を指差す。


「その猫って、君の?」

「ああ、こいつ?いんや、違うぜ」

ホントは飼っちまいてーけど。

小さな声で呟かれたそれを、この距離で聞こえないはずもなく。


「君の家とか、高校ってこの近く?」

「はあ?」


不審がってる顔に笑ってしまいそうになる。意外と子供っぽい表情。可愛い。後輩とかいたら、こんな感じかな。


「僕、その子飼いたいんだけど何分初めてで。世話とか教えてくれると助かるんだけど」


見開いた彼の目が少し輝いたように見えて、結局笑ってしまったのだった。


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