WT悠一 しじょうしゅぎ2




バリボリバリボリと機械的な咀嚼音に出水 公平は顔を引き攣らせた。こいつそろそろ病院行くべきだよな。箸を止めて、一応確認をする。


「おい___、お前もしかして昼飯それ?」


箸で指そうとしてやめた。行儀が悪いのは好きではない。特に飯を食ってるときは。男子高校生にとって飯はぶっちゃけ何よりも大事なものだろう。育ち盛りの身体は燃費が悪過ぎるのだ。
___は工場のロボットのようにただ一定に口にそれを放り込んでいた手を止めて、出水を見た。その目は出水を見ている筈なのに何も映していないように見える。何だ?お前の目はもうそれしかーーーぼんち揚しか映さないようになってんのか?


「俺は間食をあまりしないタイプだ。でもそれだとぼんち揚をあんま食えないだろ?」

「え?あ、ああ、そうだな…?」


何言ってるんだこいつ。


「でも迅さんは四六時中いつでもどこでもぼんち揚だ。うわいっそぼんち揚になりたい、っと今の論点はそこじゃなかった。つまり迅さんの身体はおおよそぼんち揚で作られていると言っても過言じゃない。可愛すぎるな。迅さん至上主義である俺も当然そうでありたい。よって昼食にぼんち揚を摂取することにした」


どうだ、完璧だろ。と一人満足気な___に対し、出水は恐怖さえ覚えていた。駄目だこいつ…早くなんとかしないと…。女子は今日の___が物憂い顔だから元に戻ったのではと出水との会話に聞き耳を立ていた。これがいけなかった。愛の重たさに皆怯えている。ドン引きながらも出水は友人として話題を探した。こう、何かないか。___がマトモっぽく見える話題…!


「えーっと、あ、そういや迅さんのどこに惚れたんだ?」


爛と瞳を輝かせた___が無駄に良い顔を綻ばせた。あ、これしくったな。


「好きなところはキリがねぇけど、どこかに惚れたんじゃない。迅さんなら何でも愛しいんだ。」


いとおしそうにぼんち揚に頬ずりしている___に、出水はやっぱり顔を引き攣らせた。こいつ、そろそろじゃなくて今日にでも病院に行くべきだ。


ーーーーーーーー
本当は主人公に「俺が死んだらぼんち揚に遺骨を混ぜてくれ」って言わせようとしてたけど流石に気持ち悪過ぎて止めました。一瞬、主人公は迅の一部に成れるし、迅はぼんち揚からカルシウム摂取出来るからウィンウィンだと思ったので多分私相当疲れてる。


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