「エッ、キャプテンってサンマ好きなんすか!スゲェ!」 「だってあれめっちゃ苦くないっすか?」 「それが美味いって…、オレとキャプテン 全然合わないっすね!」 ズガン。衝撃。 満面の笑みで好きな奴にそんなこと言われて凹まない訳が無い。その休憩後からの部活はよく覚えていないが、その日の夕食がタイムリーにもサンマの塩焼きで、やっぱり美味くて更に凹んだ。もうベッコベコだ。美味いだろサンマ。塩焼き最高だろ。確かにちょっと苦いとこはあるけど、それすらも美味いだろ。言うまでもなくふっくら香ばしいあの身は至極である。 オレとキャプテン、全然合わないっすね! 軽口のひとつのつもりである___にとっては大したことない一言を、ひたすら脳内でリフレインして勝手にブルーになりながら登校する。お陰で研磨は鬱陶しそうな顔を隠しもせず、俺を置いて朝練に向かった。なんて冷たい奴だ。あー___と会いたくねぇ。朝練なくなれ。学校に隕石落ちろ。日本沈没、いやもう手っ取り早く地球滅べ。高校生らしい不純な動機で有名な滅びの呪文を心の中で唱えていたその時だった。 「おっはよーございますキャプテン!」 「今日研磨と一緒じゃないんすね」 「あっ、てことは キャプテンを独り占めっすね!」 ズガン。衝撃。 あーあー、全部取り消し。今日もいい天気だわ。 to list |