桐絵先輩と笑い合いたいの。手を繋ぎたいの。その次はキスをして、照れてくれると助かるな。きっと私は真っ赤だろうから。それでね、いつか肌を合わせるの。抱き合うだけでもいい。それだけで泣いちゃうくらい私は幸せになる。もう隠せない。我慢できない。終わりは怖いけれど、でも“可愛い後輩”でいられる自信がもうないの。苦しくて、泣きそうになるのよ。もう抑えられないから。 「桐絵先輩、好きです」 「ありがと___、あたしもーー」 「違うんです。愛してるんです、桐絵先輩のこと」 「え、?」 「同性ですけど、桐絵先輩とお付き合いしたいんです。恋人に、なりた、です…っ。わた、し、ごめ、なさっ、ごめんなさい、きりえ、せんぱ、!」 ぎゅうう、と何かに抱きしめられる。視界が赤の可愛らしいセーターでいっぱいになった。あったかい、優しい、何だか甘い香りがする。もしかしたら和菓子の香りかもしれない。彼女の大好物だから。そっと顔を上げるけど、すぐに彼女の小さな手のひらに両目を覆われる。桐絵先輩、泣いて、た? 「なによ、それ。そんなの、ずっと隠してたあたしが、バカ、みたいじゃ、」 目隠ししている手と、私の手を重ねる。恋人繋ぎ。してみたかったの。あ、桐絵先輩の可愛い顔がよく見える。泣いてる。ぼたぼた大粒の涙を流してる。いつもキリッとしてる顔が真っ赤で、どうしよう、凄く、かわいい。 「桐絵先輩…、愛してます」 「、遅すぎるのよ。許してあげるから、死ぬまであたしの隣にいなさい」 言葉はとても辛辣なのに、涙声だからちっとも怖くないの。ただの甘い愛の言葉。桐絵先輩らしいなあ。 「死んでも、隣にいさせてくださいね」 あなたはとっても嬉しそうに笑った。わたしもきっと、同じように笑ってるんだろうなあ。 to list |