男になりたかった。そうすれば私は、恋人にこそなれずとも、告白は出来た筈だから。ねえ、桐絵先輩。私、桐絵先輩のこと好きなんです。愛してるんです。桐絵先輩しかいらないんです。桐絵先輩は、私なんか、いらないだろうけど。 「___?あんたこんなとこで何してんのよ?」 「きっ桐絵先輩!あっ、えっと、そのっ」 「?」 「き、桐絵先輩を待ってた、って言ったら、ひ、引きますか?」 「ぷっ、あんたバカねぇ!引くわけないじゃない。可愛い後輩だもの」 ころころと笑う桐絵先輩はとっても可愛い。よかった、笑ってくれた。凄く嬉しい。笑顔になるのがわかった。ほっぺた、あつい。でも心は冷たかった。可愛い後輩。うん、うん、そうだよ。私は桐絵先輩の可愛い後輩。それだけでいいじゃない。男だったら、きっと名前だって覚えてもらえてないんだから。 「っ、桐絵先輩大好きですよ!」 「ふふっ、あたしも好きよ」 ね、これだけで、十分、でしょ? to list |