WT悠一 げんきになるくすり(意味深) R15


たらし主
長い上に微妙です


頭痛と吐き気で目が覚めた。真っ先に浮かんだのは慶さんの焦った申し訳なさそうな顔で、気づかなかった僕も悪いけど憎いものは憎い。覚束無い足取りで一階に降りて、桐絵に声を掛ける。


「…桐絵、おはよ」

「おは、…___!?今にも死にそうよ、どうしたの?」


顔をギョッとさせて慌てて駆け寄ってくれる彼女に申し訳なくなる。というか僕死にそうな顔してるのか。


「昨日、お酒をジュースだと勘違いした慶さんに飲まされて…」


桐絵は苦虫を噛み潰したような顔をした。ごめんね、と頭を撫でると、彼女はあっ!と声を出して冷蔵庫へ向かった。


「これを飲みなさい!元気になれるクスリよ!」

「ははっ、ありがと」


はいっと小さいペットボトルを渡された。まあ多分エナジードリンクか何かだろう。喉が乾いてたから、僕はすぐに口にする。


「ッ!、___!!」

「んっ、…え?悠一さん?」


突然僕の名前を叫んだ彼は、僕の持っているペットボトルを見てため息を吐いた。僕もそれを見るが、何てことないただのジュースだ。


「…あー、___、その残り、おれにくれないか?」

「えっと…、桐絵、いい?」

「え、ええ。いいわよ」


悠一さんに半分程に減ったそれを渡す。悠一さんは微妙な顔でそれを飲みきった。喉が乾いてた、って訳じゃなさそうだけど。うーん謎だ。


「…___、あとでおれの部屋ね」

「?はい、」


悠一さんはそれだけ言うと部屋を出ていった。どうしたんだろう。










悠一さんの部屋でのんびり過ごしている間に、頭痛と吐き気は治まった。けれど暖房にあたり過ぎたのか、顔や身体が火照って熱い。


「悠一さん、ちょっと暑いんですけど、暖房止めていいですか?」

「…暖房、入れてないぞ」

「え?…あれ?」


僕に背もたれているとはいえ、僕を見ずに答えた悠一さんに違和感を覚えながら、エアコンを見る。確かに、うんともすんともいってない。じゃあなんでこんなに熱いんだろう。


「……なあ、さっき飲んだの、何だと思う?」

「何って、エナジードリンクか何かじゃ…」

「ハズレ。…媚薬だよ」


そういうと悠一さんは振り向きざまに僕にキスをした。押し付けるだけのキスなのに、なぜか僕の心臓はいやに早くて、もっと欲しくなる。媚薬。確かに悠一さんはそう言ったけれど、ならこの熱も、そのせい?計ったかのように薄ら開かれた口に思わず食らいつく。気持ちいい、もっと、あれ?じゃあどうして悠一さんは媚薬を?


「んんっ!、 ふっ、ぅ、…んっ、 っ、 ん、ぁ、」


ああもう何でもいい。今は悠一さんと気持ちよくなることしか考えられない。逃げようとする悠一さんの後頭部に手を添えて、その薄い舌を絡めとる。ゆっくり押し倒しながら、漏れる艶めかしい声に目を細める。上顎を擦る度に反る首筋がとても綺麗だ。でも、悠一さんが瞑ってるせいで隠れているあの水色の瞳は、もっと綺麗。見たいなあ。僕は服の上から悠一さんの熱に触れる。触れた、だけだったのに。


「んん゛っ!?ッ、んん〜〜っ!」


見開かれた水色の瞳がすぐにぎゅう、と閉じられる。見下ろしている体が大袈裟なくらい麻痺し、ズボンがじわりと濡れた。


「はっ、 はっ、はあっ、っ、見るな、っ」


泣きそうなか細い声に心臓が跳ねた。悠一さんが、こんなに恥ずかしがるなんて。ゾクリとした何かをもっと感じたくて、顔を覆ってる大きな手を剥がして頭上で纏めてやる。潤んだ水色はやっぱり綺麗で、熱を孕んでいて、苛めたくなるのはしょうがない、よね。


「…イっちゃいましたね、ズボンぐちゃぐちゃですよ」

「ッ、ゃ、___…っ!」

「触れただけなのに」

「ちが、う、っこれは、びやくがっ、」

「本当に?悠一さんの身体がえっちなだけじゃないんですか?」


ほら、もうイキそう。
くすりと耳元で笑って、張りつめているそこを優しく撫でる。涙を耐えて、ピクピクと震える悠一さんはとても艶やかで、つい感嘆を漏らす。


「悠一さん、綺麗ですよ」

「っ、やめ、変なこと、いうな…っ」

「はは、可愛い。…ね、熱いでしょ?服、脱がしても良いですか?」


可愛らしい悠一さんのベルトをわざとらしく引っ張ると、はらりと水色からついに涙が溢れた。ああ、どうしよう、身体が熱い。悠一さんの濡れた唇が小さく動いた。

好きに、しろ。














「ん、……」

「悠一さん、おはようございます」

「んー…___…?、ん?」


ぼうっとしてる悠一さんをにこにこ眺めていると、思い出したのかじわじわ赤くなる。僕から顔を反らして口元を抑える悠一さんの耳も真っ赤で、思わず口元が緩む。


「あんなに乱れた悠一さん初めてで、とても可愛かったですよ」

「〜〜っ、…やめろって言ったろ、そういうの」

「思ったこと言ってるだけですよ。…ね、悠一さん、何で媚薬飲んだんですか?」


ずっと疑問に思ってたことだった。身体の熱に悶えて、心配になるくらい乱れる姿は、正直苦しそうにも見えた。あの未来が見えなかった訳ないと思うのだけど。


「……___が、おれを抱かずに一人で耐えようとするのが見えたからだよ」


これだったら、おまえはおれを抱かない訳にはいかないだろ?

ちらりと僕を見る悠一さんに、今度は僕が顔を赤くする番だった。





(桐絵、あれどこから貰ってきたの)(露店で売ってたのよ、元気になるクスリだって!)(……露店で物を買うの禁止ね)(ええーっ!)


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