暴れる奇妙なロボット。逃げ惑う人。崩れる建物。その下敷きになっている、おれの、両親。 「___、にげろ…っ!」 「私たちは大丈夫、だから、早く!」 両親の最後の言葉だ。四年半経つ今でも耳にこびりついて離れない。あのときおれが二人から離れていなければ、あのときボーダーが来なければ、せめて、おれも一緒に死ねたのに。 「出席とるぞー。相川ー」 「はい」 「出水ーーーは、ボーダーの任務だったな。米屋もいないなー?」 ボーダーなんていらない。ボーダーさえいなければ、四年半前のあのときみんな死んで誰も悲しまなかった。おれが両親に置いていかれることもなかった。全部ボーダーのせいだ。 「___ー、明日から連休入るから、連休明けの提出物二人に渡しといてくれ」 「はい、わかりました」 二人分のプリントを鞄に突っ込んでボーダー本部へ向かう。何故って、おれがボーダーの情報統括部に所属しているからだ。いつか、大規模な近界民の侵略が来たときにデータを全てぶっ飛ばす予定である。ボーダーやトリガー、ネイバーのデータも、すべて。それだけでは壊滅まで繋がらないだろうけれど、混乱させることはできる。あとは近界民に任せるよ。 「___?」 「嵐山さん、こんにちは」 「ああ。どうしたんだ?ご機嫌だな」 アンタたちがボロボロになって絶望する様を思い浮かべれば、ご機嫌にもなるよ。早く、早く消えてくれ。父さんと母さんは帰ってこない。これ以上おれみたいな奴を増やさないためにも、みんな死ぬべきだよ。 「…明日から、連休ですから」 「なるほどな。そのせいか、おれは広報の仕事が立て込んでるよ」 「大変ですね、ボーダーの顔は。おれは本部で暇つぶしです」 でも安心してくださいね。きっと、もうすぐ全て終わりますから。みんながもう辛くないように、おれが、終わらせてみせますから。 「暇なら連休の最終日、飯行かないか?」 「良いですね、楽しみにしてます」 嬉しそうに笑うアンタに、本当のおれを見せたら、どうするんだろうなあ。なんて。 ーーーーーーーーーー 多分そのうち嵐山さんとくっついて、野望潰えるんだろうな(適当)。弾バカと槍バカは同じクラスとか情報統括部とか捏造祭り。 to list |